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令和3年度福祉部定期監査結果報告
更新日:2021年11月30日
小牧市監査公表第20号
地方自治法(昭和22年法律第67号)第199条第4項の規定に基づき定期監査を実施したので、同条第9項の規定によりその結果について次のとおり公表する。
令和3年11月30日
小牧市監査委員 伊藤 二三
小牧市監査委員 加藤 晶子
定期監査の結果について
第1 監査の対象及び実施期間
・福祉部
福祉総務課、地域包括ケア推進課、障がい福祉課、介護保険課、保険医療課、市民窓口課
・対象期間 令和3年4月1日から令和3年7月31日までの所管業務
・実施期間 令和3年8月26日から令和3年10月15日まで
第2 監査の方法
小牧市監査基準に準拠し、財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理について、各課に共通する収入・支出事務、契約事務、補助金交付事務、公有財産管理事務、旅費及び時間外勤務手当等支給事務などの財務事務及び個別の事務事業において、それぞれ抽出による関係書類や監査資料等を調査するとともに、関係職員から説明を聴取して、事務事業の執行が、適正かつ合理的・効率的に行われているかどうかを主眼として監査を実施した。
第3 監査の結果
監査を実施した範囲においての各所管の事務事業の執行処理状況については、一部の是正・改善を要する事項を除き、適正に執行されていると認められた。なお、軽微な事務の誤りについては、その都度是正指導を行った。
各所管の監査の結果及び意見は次のとおりである。
福祉部
福祉総務課
指摘事項
なし
注意事項
(1) 庶務事務について
切手が適正に台帳管理されていなかった。
意見
・ 福祉総務課では、無償の奉仕活動を行うボランティアに対して、ボランティア保険加入への自己負担軽減を図るため、令和元年度より地域福祉活動推進事業補助金に当該負担相当額を加えるよう見直しが行われた。
市内のボランティア活動のすべてを小牧市社会福祉協議会で管理、調整するものではないが、今後も、新たにボランティア活動を始める団体、あるいは継続する団体のための支援機関として活動内容や支援実績等の把握に努め、効果的な補助金の活用に取り組まれたい。
(参考)小牧市社会福祉協議会ボランティアセンター
登録団体数 91団体(令和3年4月1日現在)
ボランティア保険補助加入者数 全91団体 3,075人
・ 生活保護事務については法定受託事務のため、実質的な地方自治体の裁量権は拡大していないものの、費用の4分の1を市が負担していることから、生活保護費の支出の5割弱を占める「医療扶助」の適正化に向けて、頻回受診・重複受診等に係る受診指導や薬の処方における後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用促進に努められている。
さらには受給者の診療報酬明細書などのデータを分析・活用した生活習慣病予防を促す健康管理支援や、社会保険への加入促進を図る就労支援などを行っており、今後も本市の実状を踏まえた施策の実施に向けて、より効果的な事業展開に取り組まれたい。
(参考) 令和2年度決算主要施策成果説明書より
3款4項(生活保護費)生活保護費の支出状況(令和3年3月末現在)
|
生活扶助 |
住宅扶助 |
教育扶助 |
医療扶助 |
介護扶助 |
出産扶助 |
扶助金額(千円) 構成比(%) |
558,114 (30.0) |
315,389 (16.9) |
9,119 (0.5) |
884,383 (47.5) |
69,449 (3.7) |
591 (0.0) |
|
生業扶助 |
葬祭扶助 |
就労自立 給付金 |
進学準備 給付金 |
施設事務費 |
計 |
扶助金額(千円) 構成比(%) |
4,438 (0.2) |
6,698 (0.4) |
799 (0.1) |
500 (0.0) |
12,360 (0.7) |
1,861,843 (100.0) |
・ 令和2年5月に改定された「補助金のあり方と交付基準について」では、補助金の恒常化・既得権化を防止し、社会情勢の変化に対応した事業内容への見直しを適時適切に行うため、全ての補助金について、終期を設定することとされているところ、小牧市社会福祉協議会に対して地域福祉活動推進事業の充実を図ることを目的に補助金を毎年支出しているが、現在の交付要綱には、終期設定がされていない。
特に「事業の充実を図る」ことを目的とする場合、達成の基準が抽象的であり個人的な主観が入りやすいことや補助対象事業者への牽制機能が働かないおそれがあることから、終期設定について交付要綱の見直しを検討されたい。
地域包括ケア推進課
指摘事項
なし
意見
・ 地域包括ケア推進課においては、いくつかの福祉事業をあらかじめ行政が示す仕様に従い小牧市社会福祉協議会に委託されている。一方で、小牧市総合福祉施設ふれあいセンターの管理運営にあたり指定管理者制度を活用されている。
指定管理者制度は、双方向のコミュニケーションを通じて、指定管理者のノウハウや経営資源を最適な形で組み合わせ、指定管理者の力を引き出すことで市民サービスの向上を図ろうとするものである。市のルールに則った業務を前提としながらも、新たな提案を募り、個別の事業展開につなげられるよう検討されたい。
・ 高齢化に伴い介護保険サービス利用者が増加していく中で、国は「高齢者の自立支援に真に資する効果的な介護予防サービスの提供を重点的に推進し、高齢者が生涯にわたって生き生きと暮らせる社会を築くことが、最重要の課題である」としている。
小牧市では介護予防体操「こまき山体操」の普及啓発、歯科医師等の派遣による口腔ケアの実践、保健師を中心とした介護予防教室の開催などに取り組まれたことで、東海4県における“高齢者1人あたりの介護給付費の増加を抑えた市町”の第8位となった(日本経済新聞令和3年8月21日付記事)。
今後も75歳以上の高齢者の増加と年齢構成比の変化に伴う給付費の負担増を踏まえ、介護予防事業の費用対効果を分析し、健康寿命延伸に向けた取組を検討されたい。
障がい福祉課
指摘事項
なし
注意事項
(1) 契約事務について
負担金の納付が協定書に規定された納付期限経過後となっているものがあった。
意見
・ 障害福祉サービスを提供する事業者は、障害のある方の自立及び社会参加の推進、また、その保護者の高齢化に伴う家族ケアの支援という観点から非常に重要な役割を担っている。そこで、障がい福祉課では、当該事業者の障害福祉サービスに係る請求について、適正化システムを活用し、保険適用の二次審査・指導・監査等を迅速に実施している。
利用者が受けられるサービスは常に適正かつ公平であることが求められることから、今後も障がい者に寄り添って、その人に一番合ったサービスを提供できるよう、支給の要否や支給量の決定に努められたい。
・ 指定障害福祉サービス事業所による不正請求等に係る行政処分に伴う返還事務に関して、令和2年度から3年度にかけて2法人からの清算を受けられたが、依然として調定額7,945万円余に対する収入済額は631万円余であり、収納率は7.9%(令和3年8月末現在)と低く、回収が効果的に進んでいない状況となっている。
この調定額には、市費負担分(1/4)の他に、国庫負担金(1/2)、県費負担金(1/4)を含む額であるところ、当該返還事務については、愛知県が障害者総合支援法や児童福祉法に基づく行政処分をしたことに伴い、給付費の返還が発生し、市がその回収手続を進めることとなっている。
このような指定障害福祉サービス事業所の不正請求に係る返還事務については、その事実発生から発覚までの期間が長期間となり、過去に遡って複数年の取消処分となる傾向があることから返還額が高額となり、市の事務負担が増大していると考えられる。
当該事業所への指導事務については、愛知県に指導権限があり、監査も愛知県により行われているが、不正請求を未然に防ぐ効果的な方策については可能な限り愛知県や関係市町と連携して対応するとともに、債権回収特別対策室とも連携し、効果的な債務者の資産状況の把握及び徴収方法を選択するなど、債権回収の実効性を高められたい。
介護保険課
指摘事項
なし
注意事項
(1) 契約事務について
ア 契約書で提出を求めている事業計画が確認できなかった。
イ 契約書に最新の契約約款が添付されていないものがあった。
(2) 庶務事務について
切手在庫と収支簿の残高が一致していなかった。
意見
・ 介護保険課では、介護サービス事業所の指定権限のあった他市で平成26年に不正請求が発覚しながら、本市の介護給付費の不正利得返還措置が十分に行われないまま時効を迎えようとしている。
福祉部内において、不当利得返還金が発生しており、未回収のまま時効を迎え、不納欠損として処理をされているものもあることなどを踏まえると、返還業務に関する事例について各課で抱える情報を整理し、部としての対策を検討するとともに、必要に応じて対策マニュアルを策定するなど組織的な対応が求められる。
積極的に他の自治体にも確認し、返還業務に対して、これまで以上に厳しく臨まれたい。
・ 後期高齢者(75歳以上)の健康診査について、国は、これまでの「特定健康診査(メタボ)」に準じた質問票を見直し、介護予防活動へつなげるため、健康状態を総合的に把握する「後期高齢者の質問票(フレイル)」を使うことを義務化された。そこで本市では、独居の把握や民生委員、地域包括支援センターとの連携が行えるよう、本市独自の調査項目を追加した「フレイルチェック質問票」を策定しており、これらのデータを活用することで、地域ごとの地域包括支援センターが情報の把握と個々にあった支援につなげられているとのことである。
令和2年度からの取組ではあるが、結果の検証に努め、小牧市モデルとして活用されたい。
保険医療課
指摘事項
なし
意見
・ 保険医療課では、国民健康保険事業として特定保健指導事業や糖尿病性腎症等重症化予防事業、データヘルス支援事業などレセプトや健診結果といったデータを多く扱われている。国民健康保険被保険者は、28,848人(令和3年3月末現在)であり、本市人口151,920人の19.0%を占めることから、本市の傾向をつかむうえで、レセプトデータの分析は貴重なものとなる。今後は、部内で連携して対策を講じるために後期高齢者医療の健診データを含め、データの活用を推進されたい。
・ 福祉医療費の助成に伴う高額療養費の返還請求事務において、返還請求額確定のための同意書を、その都度受給者から取得していた。また、市が計算した高額療養費相当額と、受給者への支給予定額とが異なると申し出があった場合、医療機関にレセプトを返戻し、訂正の依頼をしているとのことであるが、本来、福祉医療費の助成について、高額療養費の対象とされる月のみ、医療機関のレセプトをチェックすれば足りるのかについて、検証結果に基づき評価すべきと考える。
特に本市の「小牧市医療費の支給に関する条例(平成15年小牧市条例第9号)」第10条に規定する「医療保険自己負担額」の把握が不十分と思われる事例が見受けられたが、このことは、高額療養費の対象となった月以外の月にあっても、福祉医療費の助成額に疑義が生じるものであり、遡って検証されたい。
いずれにしても、当該制度は平成15年4月1日からの施行でありながら、当該手続が常に改善されてきたものとは言い難い。今後は、先進市町の情報を積極的に取り入れながら、マニュアルを整理されたい。
市民窓口課
指摘事項
なし
注意事項
(1) 契約事務について
ア 仕様書で提出を求めている月次報告書が提出されていないものがあった。
イ 委託業務の開始に伴い受託者が提出する年間業務計画書及び年間研修計画書の送付が遅延しているものがあった。
意見
・ 市民窓口課では、「マイナンバーカード交付円滑化計画」を策定するとともに、交付体制の整備や普及促進に計画的に取り組まれている。新型コロナウイルス感染症の拡大等により、広報・普及活動の一部を抑制せざるを得なかったこともあるが、庁舎外での出張窓口の開設や日曜開庁の積極的な実施により、交付率は43.48%(令和3年10月24日現在)となり、県内で6番目に位置しているとのことであった。今後も上位を維持されるよう計画的に取り組まれたい。
・ 市民窓口課においては、コンビニエンスストア証明書等交付にかかるシステム保守管理を委託しているが、令和2年度の当該委託金額は平成28年度の委託額とほぼ同額である。しかしながら、システム改修に伴い効率化が図られれば、当時の保守の状況と現在の状況とでは異なるおそれがある。そこで、保守の内容や点検の頻度など、年度ごとの実績を踏まえて委託金額の妥当性についての確認が必要となる。
特に当該契約はシステム開発者との随意契約であることから、品質が低下したり、価格が高止まりしたりしていないかについて、保守項目ごとの見積書を精査し、牽制機能を働かせられたい。
定期監査結果報告(福祉部) (PDFファイル: 157.8KB)
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