令和7年施政方針(第1回定例会)

更新日:2025年02月28日

ページID: 47395

00:04 はじめに

06:26 市政運営方針

14:01 予算編成方針

16:00 市制70周年記念事業

19:37 市政戦略編

33:30 分野別計画編(安全・環境)

37:10 分野別計画編(健康・福祉)

40:38 分野別計画編(教育・子育て)

44:27 分野別計画編(文化・スポーツ)

47:26 分野別計画編(産業・交流)

49:36 分野別計画編(都市基盤・交通)

53:40 自治体経営編

01:01:47 令和7年度予算規模

01:05:32 結びに

はじめに

令和7年小牧市議会第1回定例会の開会にあたり、市政運営に係る私の所信を申し述べますとともに、令和7年度当初予算案につきまして、主要な施策とその概要をご説明申し上げ、議員各位、並びに15万市民の皆様をはじめ、小牧市にかかわるすべての方々にご理解とご協力をお願いいたしたいと存じます。

さて、私が市民の皆様のご信任を賜り、4期目の市政を担わせていただくこととなり、2年が経過したところであります。私は市長就任以来、「改革と創造の市政」、「チャレンジする市政」を掲げ、小牧市の未来を見据えた様々な改革と明るい未来につながる新たなチャレンジに全力を注ぎ、信念とスピード感をもって全力で市政の運営にあたってまいりました。

私の任期は明日から15年目に入るわけですが、これまでの間、時代の変化は非常に目まぐるしく、我が国の少子高齢化・人口減少の進行はもとより、近年では新型コロナウイルス感染症の世界的流行、世界各地の戦争や権威主義国の台頭、先進諸国の政治の分断、また世界的な気候変動と夏の猛暑や、AIをはじめとした情報技術革新・デジタル化の著しい進展、そして我が国においては、ようやくデフレを脱却したものの人手不足が顕在化し、円安・インフレが加速するなかで、いよいよ30年間続いた超低金利政策が見直され、金利のある世界へと、バブル崩壊以降の我が国経済は大きな転換期に差し掛かっている状況であります。

令和7年は終戦から80年、昭和の元号では100年にあたり、小牧市は1月1日に市制施行70周年を迎えました。

小牧町・味岡村・篠岡村の1町2村が合併して小牧市が誕生した昭和30年、当時の人口は現在の4分の1にも満たない3万2,327人でありました。“菜どころ、米どころ”と言われ、豊かな田園が広がっていましたが、社会資本の充実には農業だけでは限界があり、農業依存からの脱却と財政基盤の確立が課題とされ、諸施策が打ち出されました。そのなかでも昭和31年に制定された工場誘致条例は代表的なものであり、現在の内陸工業都市小牧の礎を築いたといっても過言ではありません。昭和38年に北里村と合併して現在の市域が形作られ、高度経済成長を経て、人口・世帯数・製造品出荷額も順調に伸び、都市機能が整備され、市民生活が充実したのは皆様もご存じのとおりであります。

そして、この記念すべき市制施行70周年となる節目の年に、改めて、行政のトップリーダーとして市民の皆様のご期待にお応えしていかなければならないという強い使命感を持って、本市の更なる発展と諸課題の解決に真摯に取り組んでまいる所存であります。

10年前の平成27年の市制60周年記念式典では、「こどもを中心に世代を越えて市民がつながり、支えあう、すべての市民が暮らしやすい、あたたかいまち」を小牧市全体で目指し、市内外に発信していくため、「こども夢・チャレンジNo.1都市宣言」を市民の皆様とともに行いました。そして、宣言を契機とし、次代を担うこどもたちの様々なチャレンジを市民みんなで応援することで市民がつながるまちづくりを推進してまいりました。「こまきこども未来館」は開館から3年を迎えた昨年12月に、来館者が延べ100万人を達成しました。こどもの成長を見守り、幅広い体験ができる場所として、小中学生や親子連れに好評を博しています。

今年の市制70周年記念事業では、コンセプトを「70年の挑戦 つなごう未来へ 夢とキラめくこまきびと」とし、市民の皆様とともに様々な記念事業を予定しておりますが、特に、小牧市としてこれまでも力を注いでまいりました2つの大きなテーマである「健康」と「環境」を取り上げ、さらに精力的に取組を加速する年としてまいりたいと存じます。

私は昨年の施政方針においても、SDGs未来都市に選定された尾張地域初の自治体として“誰一人取り残さない”小牧市の実現に十分に意を配すと申し上げ、持続可能で多様性と包摂性のある市政を推進してまいりました。

全国の自治体がどれだけ「経済」・「社会」・「環境」のバランスが取れた発展につなげているかを数値化した、日本経済新聞社の「第4回全国市区SDGs先進度調査」の総合ランキングが令和7年1月に発表され、小牧市は全国815市区中、総合18位の評価をいただき2年前の前回から大きく順位を上げております。このことは「こども夢・チャレンジNo.1都市宣言」を旗印に、本市独自の「こまきこども未来大学」や「駒来塾」など、すべてのこどもたちが夢を育みチャレンジできる環境整備にまち全体で取り組んできたことをはじめとして、未来に向けた各種施策が総合的に評価されたものと認識し、引き続き、持続可能で多様性と包摂性のある小牧市の実現に取り組んでまいります。

市政運営方針

市政運営にあたっては、市の最上位計画である「小牧市まちづくり推進計画第2次基本計画」に基づいて、計画的に進めてまいります。

「小牧市まちづくり推進計画第2次基本計画」は、自治基本条例に基づき、小牧市民憲章に掲げる理想のまちの実現に取り組んでいくために策定したものであり、昨年4月から本格的にスタートさせております。

まちづくりを進めていく上での機軸となる「こども夢・チャレンジNo.1都市」「健康・支え合い循環都市」「魅力・活力創造都市」の3つの都市ヴィジョンと、市長の強いリーダーシップと責任のもと、優先的に経営資源を投入し強力に推し進めていく3つの戦略からなる「市政戦略編」、行政が着実に実施していく29の基本施策からなる「分野別計画編」、それらの施策の推進と一体で取り組む行財政改革の体系を示した「自治体経営編」に基づき、DXの推進やカーボンニュートラルの実現などを新たに横断的な視点として掲げ、時代の潮流に対応した市政運営に取り組んでいます。

第一に、「こども夢・チャレンジNo.1都市」であります。

これまで、市独自の施策として、「こども夢・チャレンジNo.1 都市宣言」や「小牧市地域こども子育て条例」の制定、こまきこども未来館の開館、「海外留学助成金」などの各種チャレンジ支援、駒来塾の開設、0歳児から2歳児の保育料無償化、第2子中学生・第3子以降小中学生の給食費無償化などに取り組んでまいりました。

また、子育て家庭への支援としては、「子育て世代包括支援センター」による妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援体制の構築、「児童クラブの開所時間の延長」、「18歳到達年度末までの子ども医療費助成拡大」などに取り組んでまいりました。

さらに、児童生徒数の減少や学校施設の老朽化が進む中、将来のこどもたちに充実した教育環境を整えるため、将来の教育環境の整備方針として「小牧市新たな学校づくり推進計画」を昨年9月に策定しました。

今後も、これまでの取組を引き継ぎながら、来るべき未来社会を見据えて、充実した教育・子育て環境を実現するとともに、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもたちが夢を育み、未来を描いていきいきと挑戦することができるまち「こども夢・チャレンジNo.1 都市」を目指してまいります。

第二に、「健康・支え合い循環都市」です。

これまで、本市は健康経営優良法人の認定を2023年そして2024年と取得し、市としても自らすすんで健康経営に取り組むとともに、企業経営の活性化と成人期の健康づくりの取組を充実するため、市内企業の健康経営をバックアップしてまいりました。また、市民の健康づくりに向けて、独自の人間ドック制度や健康いきいきポイント制度の創設、各種検診・予防接種の充実、ウォーキングアプリ「alko」の開発、フレイル予防の実施、高齢者外出支援につながるこまき巡回バス「こまくる」の拡充、口腔ケアの充実などに取り組み、市民の健康づくりを応援してまいりました。

そして、地域協議会の設立・運営支援、支え合いいきいきポイント制度の創設、ふれあい・いきいきサロンの設立・運営支援、こまき市民交流テラス「ワクティブこまき」の開設など、市民との協働によるまちづくりを進め、支え合いの地域づくりに取り組んでまいりました。昨年は、小牧市社会福祉協議会とともに、民間事業者と連携し、公園や高齢者サロンの開催場所など市内119か所で食料品などの移動販売を開始し、大変ご好評をいただいているところであります。

高齢者が増え続ける中、市民の皆様の健康づくりを一層進められるよう、健康習慣化サポート施設「ヘルスラボ・こまき」を市制70周年を記念して本年1月にラピオ5階にオープンしました。高齢者のフレイルチェックはもとより、壮年期から自らの健康に関心を持って取り組むことが重要でありますので、食事のバランスチェックなど、こどもから高齢者まで多くの皆様にご活用いただきたいと思います。

今後、同施設を拠点の1つとしながら市民の皆様が自ら積極的に健康づくりに取り組み、生涯にわたって健康でいきいきと暮らせる環境を整備し、「活力ある高齢社会(小牧モデル)」による「健康・支え合い循環都市」を目指してまいります。

第三に、「魅力・活力創造都市」であります。

これまで、小牧市の将来を見据えて、市内企業の操業支援、企業の誘致、産業集積の推進や、市内の消費循環を高めるこまきプレミアム商品券事業、史跡小牧山や小牧発祥の名古屋コーチンなどを核とした観光振興などに取り組み、小牧市の魅力と活力を高めてまいりました。

地域ごとの取組としては、中心市街地においては「小牧市中心市街地グランドデザイン」に基づき、東部地域においては「東部振興構想」に基づき、それぞれ「コマナカmeet」や「トライアル活動」により、住民や関係団体など地域に関わる様々な主体が連携・協力して、まちの将来像を実現できるよう取り組んでまいりました。

本市は、市と小牧商工会議所で設立したこまき新産業振興センターと連名で、昨年12月、名古屋市昭和区の鶴舞公園に隣接するスタートアップ企業の日本最大級の支援拠点「ステーションAi」に、パートナー企業として入居しました。これから、この「ステーションAi」を活用する中で、市内中小企業が抱える様々な課題や地域の課題解決に向け、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを促進してまいりたいと考えております。

今後も、持続可能な魅力と活力あふれる小牧市を実現するため、若い世代や子育て世代が住みたい、住み続けたいと感じられる魅力あるまちづくりを進めるとともに、地域経済を支援し、まちの活性化を図り、バランスの良い産業集積を今後も持続的に高めることにより、経済・雇用・財政の基盤が確立された、将来にわたって輝き続ける「魅力・活力創造都市」を目指してまいります。

予算編成方針

次に、令和7年度予算編成についてであります。

歳入面では、物価高騰や人件費の上昇が企業業績に及ぼす影響が不透明な状況であることから、収入の動向は楽観視できず、歳出面では、社会保障関連経費の増加や、国の政策の影響による地方負担の増加、物価高騰や人件費の上昇が様々な経費の上昇圧力となっている、厳しい状況下での予算編成となりました。しかし、そのような状況であっても、安全・安心・快適な市民生活を最優先としつつ、健全財政の維持と各分野間のバランスに十分留意しながら、「小牧市まちづくり推進計画第2次基本計画」に掲げる3つの都市ヴィジョンを機軸とした各種施策を着実に推進する必要があります。

このため、経常的な事業を含む事務事業の徹底した見直し・改善により、経費の節減合理化を行うとともに、新たな財源の獲得に努め、あわせて基金や市債などを最大限活用することにより、重要施策に重点的に予算を配分いたしました。そして、議員各位や市民の皆様からいただいたご意見、ご要望を十分に検討したうえで可能な限り市政に反映し、皆様のご期待に十分応え得るよう編成したところであります。

それでは、来年度の主要な事業、施策について、まずは「市制70周年記念事業」についてご説明申し上げ、そののち令和7年度当初予算案を中心に、「小牧市まちづくり推進計画第2次基本計画」の体系に沿って、「市政戦略編」「分野別計画編」「自治体経営編」の順に、概要をご説明申し上げます。

<市制70周年記念事業>

はじめに、市制70周年記念事業であります。

市制70周年の記念すべき節目を小牧市に関わるすべての皆様とともにお祝いするため5月18日に、市民会館で市民参加型の市制70周年記念式典を挙行いたします。

各種の記念事業でありますが、重点的に取り組む「健康」と「環境」のうち、健康につきましては、先に都市ヴィジョン「健康・支え合い循環都市」で申し述べた通りであります。

環境につきましては、本市はこれまでも分別リサイクルの徹底やこども服のリユース事業など各種施策に精力的に取り組んでおり、県内の市の中で7年連続でリサイクル率第1位となっているところですが、市制施行50周年に宣言した「環境都市宣言」に、カーボンニュートラルの実現や資源循環の推進など時代に応じた内容を加え、市民の皆様とともに改めて宣言し、都市宣言を契機に、さらに人々の環境配慮型ライフスタイルへの行動変容や企業等の一層のSDGs推進などにつなげてまいりたいと思います。

記念事業の目玉の一つである「第66期王位戦第1局」の誘致につきましては、愛知県出身の棋士・藤井聡太七冠と挑戦者によるトップ棋士同士の熱戦が期待される中、対局の際に注目を集める「おやつ」についてコンテストを実施してまいります。また、王位戦に先立ち、「(仮称)小牧将棋まつり」を開催いたします。こどもを対象とした将棋大会「小牧市長杯」や、指導対局などプロ棋士との交流を予定しております。将棋を嗜まれる方に限らず、幅広い市民の皆様にお楽しみいただけるものと思いますので、ご期待ください。

学生の探求学習プログラムにつきましては、「こまき新産業振興センター」と連携し、次代を担う高校生等を対象に、スタートアップ企業をはじめ実際に起業された方との交流や、ビジネス課題の解決に向けたアイデアの提案を通し、学生の自己探求や起業家に必要とされるスキルやマインドセットを学ぶ機会を提供します。

中学生が議員となり、実際に市議会の本会議場において質疑や提案を行う「こども議会」を開催いたします。前回の市制施行60周年でも開催し、この議場での生徒の提案が元となり、市民参加の「笑顔でさきがけあいさつ運動」が地域を巻き込んだ形で現在まで展開されています。生徒にとっては、市政や議会の仕組みを学ぶ機会、また、自らが考えた提案を発表する機会になるとともに、大人にとっても、若い世代の視点からの貴重な意見を得られる場になるのではないかと期待しております。

小牧市民まつりにつきましては、従来のイベントに加えて、市制施行70周年の特別企画を検討中でありますので、ご期待いただきたいと思います。

加えて、この市制施行70周年を記念した「市民企画事業」として、応募いただいた市民団体が主体となってそれぞれ特色ある事業を企画・実施していただく予定です。この70周年を盛り上げ、彩りを添えていただきます団体の皆様に心より感謝申し上げます。

<市政戦略編>

次に、市政戦略編であります。

はじめに、戦略1「すべてのこどもたちが夢を育みチャレンジできる環境を創出」であります。

本市の誇る「子育て支援が充実している」姿を一層高めるため、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもたちが夢を育み、その夢へのチャレンジをまち全体で応援する環境を構築するとともに、来るべき未来社会を見据え、こどもたちが社会の変化とともに自らを成長させ続け、生き抜いていける確かな力を身につけるための環境を整備してまいります。

昨年12月に来場者数が延べ100万人に到達した「こまきこども未来館」は、本市の「こども夢・チャレンジNo.1 都市宣言」の理念を体現する施設として、「未来リテラシーを育む」というコンセプトのもと、すべてのこどもたちが夢を育み挑戦できる環境と、これからの未来を力強く生き抜く力を育てる豊かな学びを提供し、小牧のこどもたちやまち の?成長のシンボル?として、いつまでも愛される施設を目指して運営してまいります。

多くの企業や団体に参画いただいております「こまきこども未来大学」では、こどもたちが自分のやってみたいことや夢を見つけるきっかけとするため、SDGsや社会についてプロフェッショナルから直接学ぶ講座等を引き続き開催してまいります。

十分な学習環境に恵まれない中学生を対象とした、無料の学習塾「駒来塾」については、元教員の方や大学生などの協力を得て、市内全域の4教室で基礎学力の定着に向けた支援を実施してまいりました。令和7年度は新たに市南部に1教室開設し、市内5地区で学習支援を実施するとともに、募集時期を年2回から通年に変更し、支援を必要とする生徒へのサポートを充実させてまいります。

高校生等が身近な課題や関心事について自らプロジェクトを立ち上げ、 課題解決に向けた取組を発表することで、意見表明や社会参画を通して地域や社会に主体的に関わる意識を育むことを目指して、高校生等社会参画事業を実施いたします。

特色ある学校づくり推進事業では、教科横断的な視点に立ったカリキュラム編成により従来の総合的な学習を一層充実させ、こまき「夢☆チャレンジ」科として「こども夢・チャレンジNo.1都市」の基本理念に則った、より発展的で持続可能な「探究的な学び」を推進いたします。

進学する向上心に富みながらも、経済的に困難な状況にある学生・生徒の進学を支援するため、交付金制度を継続し、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもが希望する教育を受けられるように支援してまいります。

本市独自の少子化対策の拡充として所得や出生順位に関わらず、保育園・認定こども園・小規模保育事業所に通う0歳児から2歳児までの保育料の無償化を継続してまいります。

学校給食費につきましては、本市独自に多子世帯に係る無償化を実施しており、本年度も継続してまいりますが、昨今の食材費の値上がりに対応し、質と量のバランスの取れた給食を提供していく必要があることから、やむを得ず令和7年4月より学校給食費を増額改定いたします。ただし、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金の趣旨を踏まえて活用することにより、令和7年度の保護者負担額については、僅かではありますが、令和6年度より引き下げてまいります。

「小牧市新たな学校づくり推進計画」を昨年9月に策定しました。この計画に基づき、児童生徒数の減少や学校施設の老朽化の課題が特に大きい篠岡地区、北里地区、巾下地区の3地区で、地域との協議を踏まえながら、地区別の学校再編計画を策定し、推進してまいります。

次に、戦略2「“健康・生きがいづくり”と“支え合いの地域づくり”の循環により、自分らしくいきいきと安心して暮らすことができる「活力ある高齢社会(小牧モデル)を構築」であります。

加速する高齢化に伴う課題に対応し、誰もが安心して暮らし続けることができる幸せな高齢社会を実現するためには、市民の健康・生きがいづくりを応援し、市民の皆様とともに支え合いの地域づくりを進め、高齢者をはじめとする市民の「健康」と「支え合い」が地域内で循環する「活力ある高齢社会」を築いていくことが肝要であり、市長就任当初より目指すまちの姿として掲げ、その実現に向け精力的に取り組んでまいりました。

市民の健康づくりの気づきの支援、きっかけづくりの拠点として、本年1月にヘルスラボ・こまきの運用を開始いたしました。今後は、民間企業や大学等、さまざまな主体と連携し市内全域に健康づくりの取組を広めてまいります。

一般タクシーやリフト付きタクシー等の利用料金の一部を助成する利用券を交付することにより、高齢者の日常生活における外出支援及びご家族の負担軽減を図り、介護が必要になっても住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう引き続き支援してまいります。

小学校区単位で地域の特色を活かした活動に取り組む地域協議会につきましては、より一層の活動の支援を行い地域の絆を強化するとともに、住民主体の地域活動の活性化を図ってまいります。また、設立に至っていない地域に対しても、説明会の開催や地域の課題を話し合う場づくり等を通じて、設立の機運を高めてまいります。

ふれあい・いきいきサロンにつきましては、高齢者等が気軽に集まれる、地域住民の交流や仲間づくりの場となるよう、引き続き設立・運営支援に取り組んでまいります。

移動販売につきましては、昨年4月から開始し毎回利用される方も多く、新たなインフラとなりつつあります。地域のニーズに応じてルートの見直しを行うなど、より利便性を向上させるとともに、移動販売を通じた高齢者等の見守りを継続してまいります。

市民の健康づくりの取組に対してポイントを付与し、市内限定商品券等に交換できる「こまき健康いきいきポイント制度」につきましては、楽しく継続的に健康づくりができるウォーキングアプリ「alko」の活用とあわせて、健康づくりの習慣化を図ってまいります。なお、令和7年度は市制70周年記念バーチャルウォーキング大会を企画しておりますので、多くの皆様にご参加いただきたいと思います。

市民の支え合い活動に対してポイントを付与し、市内限定商品券で還元する「こまき支え合いいきいきポイント制度」につきましては、令和7年度から施設ポイントの対象となる施設に障害者支援施設等を加えます。また、新たなボランティア参加への挑戦を後押しするため、ボランティアチャレンジ事業を実施することで、地域での支え合い・助け合い活動を促進いたします。

これら2つのいきいきポイント制度は、小牧商工会議所と連携・実施しているプレミアム商品券事業による「市内限定商品券」を、地域内循環を生み出すための経済的トリガーとして活用してまいります。

こまきいきいきポイント制度をはじめとする、「健康づくり」と「支え合いの地域づくり」への取組が、市民一人一人の行動変容につながり、地域内で循環することで、活力ある幸せな高齢社会が実現されるよう引き続き取り組んでまいります。

次に、戦略3「『住みたい』『働きたい』『訪れたい』魅力あふれる小牧を創造」であります。

市民の愛着や誇りを醸成し、市内外から支持される魅力あるまちづくりを進めるとともに、本市の強みであるバランスの良い産業集積を持続的に高め、企業の新事業展開や生産性の向上を支援し、将来にわたって経済・雇用・財政の基盤が確立された活力あるまちを構築してまいります。

中心市街地につきましては、「小牧市中心市街地グランドデザイン」に基づき、将来にわたって魅力があふれ、活力が持続する中心市街地としていくため、当面の取組をまとめた「小牧市中心市街地グランドデザインアクションプラン」に位置付けられた小牧駅周辺整備事業や小牧山東公園整備事業をはじめとした各種取組を進め、まちの将来像の実現を目指します。令和7年度は、住民や商店、関係団体等がつながる場である「中心市街地まちづくりプラットフォーム」などを通じて中心市街地の活性化を目的に集い・出会った人々が、自ら企画を立ててチャレンジしながら街を元気にしていくプロジェクトである「コマナカmeet」を昨年に続いて実施し、市民等と連携・協働しながら中心市街地の活性化を図ってまいります。

また、愛称を「こまき山イーストパーク」とした小牧山東公園につきましては、「歴史を感じ、くつろぎとにぎわいが共存する新たなみんなの居場所」をコンセプトに、本市では初となる「公募設置管理制度」、いわゆるPark-PFI制度を活用して整備を進めている公園であります。令和7年6月頃の供用開始を予定しており、現在民間事業者による整備が進められているところです。ぜひ多くの皆様に訪れていただきたいと思います。

桃花台地区をはじめとする東部地域につきましても、「東部振興構想」の実現に向けて、地域に関わる様々な主体がつながる場となる「東部まちづくりプラットフォーム」の拡充を図るとともに、住民等によるまちづくりの取組促進を図るため、トライアル活動を支援するほか、東部地域まちづくり活動パートナーシップ制度により、事業者等からまちづくり活動への支援ができるように、市民活動団体と事業者等のマッチングを行ってまいります。

北西部地区につきましては、令和6年度に北西部地区公園の設計においてワークショップを行い、施設の配置や導入する機能について地元の方々のご意見を取り入れてきました。令和7年度からは、公園工事に向けた雨水貯留施設整備関連工事や道水路工事などを行い、着実に事業進捗を図ってまいります。

史跡小牧山整備事業につきましては、小牧山主郭地区のうち山の中腹付近で大手道の発掘調査を引き続き行います。また、山頂部では、令和3年度より取り組んでまいりました織田信長によって築かれた石垣等を復元する史跡整備が、令和7年度の整備により、いよいよ完成する見込みとなりました。迫力ある石垣の様子などを、ぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。なお、事業にあたっては、多くの皆様からお寄せいただいたご寄附を活用してまいります。

産業振興につきましては、令和5年3月に改定した「小牧市企業新展開支援プログラム」に基づき、知的財産権の取得にかかる費用、人材育成のための研修費用、求職マッチングサイトへの登録料等の人材確保のための費用に対する補助を拡充するほか、デジタル化支援補助金やECサイト導入支援補助金など、引き続き市内中小企業の経営革新を支援してまいります。

企業立地・次世代産業の推進につきましては、本市への積極的な立地を図るとともに、長年にわたり地域の経済や雇用を支えてきた企業が市内での事業活動を継続するための工場の増設や設備投資に係る費用の支援継続に加え、次世代産業の推進に係る補助を行ってまいります。

以上の戦略を核として、更に各分野にわたる様々な施策を組み合わせることで、小牧市の総合力を高め、まちづくりの機軸として掲げた都市ヴィジョン『こども夢・チャレンジNo.1都市』『健康・支え合い循環都市』『魅力・活力創造都市』を実現するとともに、急速に進む高齢化と人口減少に対応し、「活力ある幸せな高齢社会(小牧モデル)の創造」と「若年世代・子育て世代の転入・定住の促進」を図ってまいります。

<分野別計画編>

次に、分野別計画編についてであります。

(安全・環境)

まず、安全・環境についてであります。

愛知県警察が公表した暫定値で、令和6年に小牧警察署管内で発生した特殊詐欺被害の認知件数は26件、被害額は3千万円以上にのぼりました。特殊詐欺や、最近全国で激増している闇バイト強盗等への対策、地域ぐるみの防犯活動に寄与するため、区が防犯カメラを設置する際にご利用いただいております地域防犯カメラ等設置費補助金を大幅に引き上げます。

令和6年は元日に石川県能登地方を震源とする大地震が発生し、現地の救助や復旧を支援するため、本市からも多くの職員を派遣いたしました。また、発生から1年以上が経過する現在においても復旧・復興に向けたボランティアの活動は続いています。そのような中、本市において巨大地震などにより大規模災害が発生した際、災害ボランティアの受入れを円滑に行うため、災害ボランティア支援センターを市民会館に開設できるよう、通信回線等の整備を行います。

消防団第2分団の車庫につきましては、令和5年度から安全に出動でき、かつ駐車スペースなど十分な敷地を確保できる適切な場所への移転建替えを進めてきたところであり、令和7年度に大字西之島地内への移転が完了する予定であります。また、同敷地内には耐震性の防火水槽も併せて設置いたします。

平成28年度から6消防本部で消防指令センターの共同運用を開始以来使用してきた通信機器などについて、保守期限の満了や通信方式の変更により更新いたします。

さらなるごみの減量化と二酸化炭素排出量の削減を推進するため、本年4月から「燃やすごみ」の名称を、「分別を最大限努力しても燃やすことしかできないごみ」という意味で「燃やすしかないごみ(分別がんばったけどこれ以上はリサイクルできないごみ)」に改めるとともに、秋以降、「燃やすしかないごみ」用指定袋について、植物由来成分配合の環境負荷を低減するものへ変更してまいります。

生ごみ処理機器購入費補助金につきましては、皆様により広く生ごみの減量化を意識していただくため、令和7年度限定の措置として、補助率・限度額とも大幅に引き上げて実施いたします。

カーボンニュートラルの実現に向けて、市内から排出される温室効果ガス排出量の削減の取組をさらに進めるため、公共施設における照明のLED照明への更新や、省エネルギー型機器・再生可能エネルギーを導入する市民の皆様に対する補助の拡充をいたします。

また、本年1月には、自治体では全国初となる廃棄物コーディネーター、再生事業者、電力供給会社との「食品リサイクルを中心とした脱炭素化及び資源循環の推進に関する連携協定」を締結したところであり、今後も一層食品リサイクルを推進するとともに、再生可能エネルギーの普及促進に向けた取組を通じて、電力の地産地消を進めてまいります。

(健康・福祉)

続きまして、健康・福祉についてであります。

帯状疱疹予防接種につきましては、65歳の方を対象として、令和7年4月から定期接種となります。また、経過措置として65歳以上の方は段階的に対象となります。なお、罹患予防と重症化予防のため、定期接種の対象年齢ではない方が任意接種された場合の本市独自の費用助成も継続いたします。

言語理解や運動能力が向上し社会性が発達してくる5歳児に対して、成長・発達等を保護者と確認し、特性に合わせた適切な支援が受けられるよう健康診査を実施することで、幼児の健康の保持及び増進を図るとともに、就学まで切れ目なく支援してまいります。

乳幼児健診において、電子カルテシステムの構築によりカルテを電子化し、情報をリアルタイムで共有できるようにすることで、当該乳幼児やご家族への迅速・適切な支援が可能になります。また、健診予約システムの構築により、スマホなどからオンラインで乳幼児健診の健診日変更や問診票への入力を可能にすることで、利用者の利便性を高めてまいります。

不妊治療や不育症治療は、身体的及び経済的な負担が生じます。妊娠を希望するご夫婦に対し、経済的負担の軽減を図ることで子どもを産み育てることができるよう、不妊不育治療等に要する費用への助成を行ってまいりました。従来の一般不妊治療助成や不育症治療助成に加えて、令和7年度からは、体外受精、顕微授精、男性不妊の手術といった生殖補助医療の助成まで拡大いたします。

あらかじめ登録されたひとり暮らし高齢者のフレイル状態を把握するため、「eフレイルナビ」を導入いたします。これは、各家庭に設置されているスマートメーターで計測される電気の使用量を用いてAIがフレイル状態を検知するもので、フレイル状態を把握し、早期に専門職が介入することで、住み慣れた地域で健康的な生活を続けることができるよう働きかけてまいります。

人材不足にあえぐ介護事業所を支援するとともに、質の高い介護サービスが提供できる体制を確保するため、介護サービスの要である介護支援専門員・主任介護支援専門員について、資格取得や資格維持に必要な研修受講料を事業者が負担した場合に、研修受講料負担額に対し新たに補助をしてまいります。

医療保険・地域医療につきましては、市民病院の経営を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあり、令和5年度に策定いたしました「小牧市民病院経営強化プラン」に基づき、経営改善に向けた取組を進めてまいります。今後も、尾張北部医療圏における中核病院として、地域の医療機関との連携を深め、救急医療やがん診療、高次医療などを中心に更に機能を充実させ、安全で良質な医療の提供に努めてまいります。

(教育・子育て)

続きまして、教育・子育てについてであります。

子育て世代包括支援センターを拠点として、妊娠期から子育て期にわたり切れ目のない支援を行っておりますが、令和7年度は、生後1か月頃の乳児健診の健診内容の充実を図り、医療機関との連携を強化するほか、すべての乳児のいる家庭を訪問し、支援が必要な家庭に対して適切なサービスの提供につなげてまいります。

「未来を見据えた教育環境の整備」として、小中学校におけるデジタル機器を活用した授業が円滑に展開できるよう、タブレットなどの機器を順次更新してまいります。ICTの活用により、こどもたちが情報を収集し活用する能力を伸ばし、新たな時代に自ら未来を切り拓いていくことができる力を育む教育を進めてまいります。

米野小学校改築事業は、令和9年度の校舎と体育館の供用開始を目指し、令和7年度から工事を開始いたします。また、これに伴い、工事中は米野児童クラブを現在のプレハブ校舎に移転いたします。

学校の体育館は、児童生徒が授業、部活動などの学校活動で使用しますが、夏季は室温が非常に高くなり熱中症の危険があり、児童生徒の身体への負担が大きい状況です。一年を通じて安全で快適な学習環境を提供できるよう、改築工事中の米野小学校を除く市内全小中学校の体育館に、空調機を設置いたします。さらに、夏季の熱中症対策だけでなく、災害時にも利用できる機能を備えた設備といたします。

令和6年度より、出会い・結婚支援事業として、出会いの場の提供や結婚にかかる経済的支援を行っております。令和7年度も引き続き実施することで、若年世代が希望する結婚の一助となるだけでなく、社会全体で結婚を応援するという機運の醸成に繋げてまいります。

両親の離婚によりひとり親家庭で育つこととなったこどもが育つうえで、養育費支払いの履行は重要ですが、未払いのケースが見受けられることから、ひとり親家庭の安定した生活とこどもの健やかな成長を図るため、養育費の取決めにかかる費用の助成制度を令和6年度に設けました。令和7年度からは、養育費請求に関する弁護士費用も助成対象といたします。

増大する保育需要に対応するため、老朽化した公立保育園の統合や改修、私立保育園等の誘致を計画的に推進し、安全安心で快適な保育サービスを提供いたします。引き続き古雅保育園の改修工事を進めるほか、令和7年度中の開園を目指した小規模保育事業所の整備や、令和8年度の開園を目指した私立保育園の整備、第二保育園の改築に向けた設計を行います。

園舎の老朽化、園児数の減少が進んでいる第一幼稚園と立地条件の問題が顕在化している大山保育園を統合する(仮称)第一こども園の整備につきましては、新園舎は令和9年4月の開園を目指しておりますが、令和7年度は、第一幼稚園の解体工事及び(仮称)第一こども園の建築工事等を行ってまいります。

(文化・スポーツ)

続きまして、文化・スポーツについてであります。

令和8年秋に開催予定の第20回アジア競技大会は、アジア45の国と地域から選手・役員最大15,000人が参加するアジア最大のスポーツの祭典であります。実施される41の競技のうち、バレーボールの競技会場となるパークアリーナ小牧について、国際大会の会場にふさわしい施設設備となるよう、音響設備や照明環境制御システムの改修工事等を行います。アジア各国からお越しになる多くの選手や観客の皆様を、市を挙げておもてなししたいと思います。

また、小牧市南スポーツセンターにおいては、利用者の皆さんからのご要望を受け、屋外トイレの和式便器をすべて洋式便器に改修するほか、熱中症対策といたしまして、夏場の武道館に冷風機を設置いたします。

大規模改修工事が続いております市民会館・市公民館につきましては、以前から小牧市文化協会や小牧市美術協会などから本格的な展示施設の設置の要望も受けておりましたので、公民館の展示場と講堂をリニューアルし、可動壁などを設けることにより大小様々な規模の展示会に対応できるようにいたしました。工事は3月21日に予定どおり完了する見込みであり、市制施行70周年とリニューアルオープンを記念して、3月22日に「花咲か歌謡笑 ジョイン水谷千恵子in小牧市」を、3月30日には大黒摩季コンサートを開催しますので、多くの方にリニューアルした市民会館、市公民館をご利用いただきたいと思います。

史跡名勝や天然記念物、重要文化的景観を有する全国600を超える自治体により構成される全国史跡整備市町村協議会について、会員が一堂に会し、史跡等の整備に関する調査研究及びその具体的方策の推進を図り、文化財の保存と活用に資することを目的として毎年開催される、全国大会の第60回大会を、愛知県では初めて本市において開催いたします。

男女共同参画では、令和4年度からを計画期間とする「第4次小牧市男女共同参画基本計画ハーモニー4.」に基づき、男女が互いにその個性と能力を十分に発揮することによって、多様な性を尊重する社会の推進に努めるとともに、誰もが安心して暮らすことができるまちを目指してまいります。

(産業・交流)

続きまして、産業・交流についてであります。

産業振興に関する主要施策につきましては、「魅力・活力創造都市」の戦略3において申し上げたとおりですが、小牧商工会議所と連携して実施しております「こまきプレミアム商品券」につきましては、“がんばる小牧の応援券”として、地域内循環を生み出すための経済的トリガーとなることを目的に、私の市長就任以来継続して実施してまいりました。物価高騰が続く中、市内の商業者、特に中小商業・サービス事業者を支援し、地域経済の活性化を図るため、令和7年度のプレミアム率は、通常の10%に、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用して10%を上乗せした20%とし、総額14億4千万円の規模で拡大実施してまいります。

皆様とともに検討してまいりました「(仮称)小牧市農業公園」につきましては、「食育と環境~農と里山の恵み・ふれあい~」を基本理念に、子どもや高齢者の方々を含めた全ての世代の市民を対象に、身近な農業を通じた食の大切さを理解する場とするとともに、里山を生かし自然環境とのふれあいの場を通して農業振興の発信の場となることを目指します。令和7年度は、市民菜園や体験農園などの整備を進めるとともに、建築工事の実施設計などを進めてまいります。

姉妹都市・友好都市交流につきましては、先に申しました市制70周年記念式典に、姉妹都市であるアメリカ合衆国のワイアンドット市、友好都市である北海道の八雲町、大韓民国の安養市、アメリカ合衆国のグラント郡の各都市の皆様を招待するとともに、今年もグラント郡への中学生派遣事業、ワイアンドット市中学生受入事業を実施し、交流を深めてまいります。

(都市基盤・交通)

続きまして、都市基盤・交通についてであります。

都市計画につきましては、令和7年3月に改定する都市計画マスタープランに基づき、桃花台地区の土地利用に関し、用途地域や地区計画等の見直しを進めてまいります。

土地区画整理事業につきましては、継続事業の進捗を図るとともに、小牧文津土地区画整理事業に併せて1号調整池の地区外流域相当分の整備工事を行います。

市民の日常生活の足を支えているこまき巡回バス「こまくる」につきましては、令和8年4月に予定している再編運行に向けて、運行事業者の選定やこまくるガイド等の印刷などの準備を進めてまいります。

また、「こまくる」の将来的なサービス水準の維持に向け、懸念される路線バスの運転手不足に対応するため、自動運転の実証調査を実施してまいりました。令和5年度の中心市街地、今年度のバス型車両による桃花台地区での調査に続き、令和7年度は「こまくる」のルートを運行し、自動運転走行に向けた検証を進めます。

道路整備につきましては、主要道路の整備を計画的に進めるとともに、市民生活に密着した狭あい道路の整備促進を図ってまいります。

また、老朽化が進行している橋りょうなどの道路施設につきましては、点検・維持修繕を計画的に進め、安全確保に努めてまいります。なお、中央自動車道に架かる大山橋につきましては、コンクリート片の落下等による事故を未然に防ぐため、NEXCO(ネクスコ)中日本と連携して撤去工事を進めてまいります。

先月埼玉県で発生した、下水道管に起因する道路陥没事故は、事故に巻き込まれた方だけでなく、周辺住民の生活にも甚大な影響を及ぼしております。かねてから、本市では、下水道管を定期的に点検しながら計画的に更新工事を実施してまいりましたが、重要なライフラインとして、皆様が安心して生活を送れるよう、引き続き取り組んでまいります。

下水道使用料につきましては、国は、改定の必要性の検証や経費回収率向上に向けた取組を補助金の交付要件とするなど、独立採算の原則のもとで持続可能な事業運営に向けた取組を強化し使用料の適正化を図るよう全国の下水道事業者に対し強く要請しており、本市においても国の要請に従い、適正な使用料について検討いたしました。昨今の物価高騰による維持管理経費や今後の改築工事費用の増大など経営環境は厳しさを増しており、持続可能な事業運営を行うため、平成2年の改定以来据え置いてまいりました使用料を令和7年10月から改定する必要があるものと判断いたしました。皆様にはご負担をおかけすることになりますが、なにとぞご理解を賜りたくお願いいたします。

市道犬山公園小牧線の街路樹につきましては、歩行者等の安全を確保するとともに良好な街並み景観を形成するため、計画的に樹木の植え替えを行ってまいります。

定住促進補助金につきましては、若年層の定住という目的に一層照準を合わせるよう制度を見直すほか、市内小売店等の振興に寄与するため、これまでの現金給付から、市内限定商品券での給付に変更し、新たに定住促進奨励金として開始いたします。

<自治体経営編>

次に、自治体経営編についてであります。

私は、市長就任以来、一貫して「改革と創造の市政」を推進してまいりました。市民の利便性向上や行政事務の効率化に資するものとして、スマート窓口の導入、新たな施設予約システムや市民病院の患者外来受診支援システムの導入、オンライン申請の推進、こまき山コンシェルジュサービスや市民レポートシステムまちレポこまきの導入など、ICTの活用、デジタル化、オンライン化に注力してまいりました。

技術革新が急速に進展している分野であるため、行政のデジタル化により一層積極的に取り組み、Society5.0に向かって加速する社会に対応してまいります。

まず、協働・情報共有についてであります。

デジタルで発信する市政情報を市民の皆様に受け取っていただき、高齢者をはじめとした誰もがデジタルによる情報を活用することができるよう、情報格差、いわゆるデジタルデバイドを解消するために、引き続き市内各公共施設等においてスマホ教室や個別相談会等を開催してまいります。

次に、行政サービスについてであります。

コロナ禍をきっかけに、本市では手続きのオンライン化を進めてまいりました。オンライン申請システムにマイページ機能やキャッシュレス決済機能を追加し、オンライン上で市民と市がやり取りできるようにすることなどにより、市民の利便性向上を図ってまいります。

市の業務を効率的に行うために、様々なシステムの活用は不可欠ですが、人件費の高騰等を受けて、システム開発費用や維持管理経費が増大しています。そこで、プログラミングの知識が少ない職員でも自らの業務をシステム化できるサービスを利用することで、業務効率化を図ってまいります。

コンビニエンスストア等に設置されておりますマルチコピー機では、マイナンバーカードをお持ちの方が、自動証明書交付サービスを利用し住民票の写しや印鑑登録証明書等を取得することができます。市内には多数のコンビニエンスストアがあり、サービス利用可能時間は市役所の開庁時間より長く、たいへん便利なシステムでありますが、いまだ多くの方がわざわざ市役所にお越しになるなど、十分に活用できていない実情があります。そこで、このコンビニ交付のメリットをより多くの市民の皆様に体感していただくために、市役所本庁舎1階にも同様のマルチコピー機を設置し、ご案内いたします。一度実際に使用していただくことで、以後は必要な際にはお近くのコンビニエンスストア等で証明書等を取得いただけるようになることで、皆様の利便性が向上するとともに、証明発行窓口の混雑緩和にもつながればと期待するところです。

続いて、行政運営についてであります。

市役所の電話交換機につきましては、インターネットを介して電話機能を利用するクラウドシステムに更新し、事務室の電話機をスマートフォンに変更することで、庁舎外での業務にも迅速に対応可能とするほか、組織改正や災害時等にも柔軟に対応ができるようにします。また、あわせて自動ガイダンス機能や、カスタマーハラスメント対策となる全通話録音機能なども導入いたします。

最後に、財政運営についてであります。

これまで本市は、堅調な市税収入に支えられて全国でも屈指の健全財政を維持してまいりましたが、少子高齢化の進行、社会保障関連経費の増加、および国の施策による支出の増加などにより、健全性は保ちつつも厳しさを増す状況については、毎年施政方針の中で強く危惧している旨を申し上げてまいりました。

そのような状況の中であっても、これまで、市として優先的に取り組むべき事業、例えば子育て世帯への支援策として本市独自に実施しております保育料の無償化や、多子世帯の給食費の負担軽減などについては、積極的に実施してまいりました。令和7年度においても、財源が厳しい中ではありますが、改築工事中の米野小学校を除く全小中学校の体育館に空調機を設置するほか、古雅保育園の改修や(仮称)第一こども園の整備などを進め、引き続き子育て環境の整備に力を注いでまいります。

しかし、人件費の上昇や物価高騰に伴う委託料の増加、高齢化の進行や福祉の多様化に伴う扶助費や繰出金等の増加は今後も続くことが見込まれ、経常的経費の上昇は続くものと考えております。加えて、学校等の施設整備費や、施設老朽化に伴う大規模改修費用の増加などにより、財政需要はさらに高まっていくことが見込まれます。

増加が見込まれる歳出に対して、それを賄う歳入の根幹である市税収入につきましては、景気変動に伴う一時的な好転やインフレによる名目的な増加はあっても、人口減少や少子高齢化の進行に伴う生産年齢人口の減少などを考えると、今後大きな伸びは容易に期待できないところです。

社会保障関連経費の増加は、高齢化の進行に伴う医療費の増加や、国民健康保険制度の構造的な問題などを背景としており、人口規模や年齢構成などにより影響額に差はあるものの、全国共通の課題であります。

また、近年の国の施策に伴う事業の中には、地方への財源措置を交付税措置としている事業が多数あります。こうした事業の実施にあたっては、普通交付税の不交付団体である本市は一般財源を投入せざるを得ない状況であり、財政の硬直化が進む大きな要因となっております。

これらの問題は、一地方自治体である本市のみで解決できるものではなく、本市としては、国に対して、全国市長会など様々な機会を捉えて、状況の改善に向けて強く働きかけを行っているところであります。

先に、予算編成について申し上げたとおり、社会保障関連経費の増加や人件費の上昇、さらには近年の制度改正や国の政策などにより、普通交付税の不交付団体である本市の財政状況は、急速に余力を失いつつあります。

このように、歳入の根幹である市税収入の見通しは厳しい一方で、経常的経費の増加は続く見込みであり、財政状況が今後さらに厳しくなる見通しの中で今後も力強く市民の生活をお支えしていくためには、行政改革のスピードをさらに上げていく必要がありますが、効率的・効果的な行政運営への改革の中には市民サービスの向上に逆行する部分もあり得ることから、市民の皆様の一層のご理解を頂戴しつつ、将来の小牧市に必要となる事業について選択と集中を加速し、より効果の高い財源配分とするとともに、財政状況の改善に取り組んでいかなくてはならないと考えております。

以上、令和7年度予算にかかる主要な事業、施策について、「市制70周年記念事業」をはじめ、「市政戦略編」「分野別計画編」「自治体経営編」の順に、その概要のご説明を申し上げました。

<令和7年度予算規模>

令和7年度の予算規模といたしましては、一般会計は対前年度当初比12.7%増の703億5,600万円となり、過去最大規模の当初予算となりました。また、一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた全会計の総額は、対前年度当初比5.0%増の1,371億5,200万円余となりました。

厳しい財政状況でありながら過去最大の予算規模となったのは、歳出において、昨年秋の国の制度改正による児童手当の大幅な増額や、米野小学校改築事業、消防指令センター通信設備の更新、(仮称)第一こども園施設建設事業など、臨時的な大規模事業が重なったことなどによります。

歳入においては、地方特例交付金の減と相殺されるものの令和6年度に実施した定額減税の影響の縮小と個人所得の上昇による個人市民税の増や、新増築家屋の増による固定資産税の増などにより、市税収入を大幅な増収と見込んだほか、地方消費税交付金についても、愛知県の地方消費税収入増の見込みを受けて大幅な増加と見込みました。

昨年の施政方針において、私は、人件費や扶助費、その他経常的経費等の増加は続く見込みであること、一方、歳入の根幹である市税収入は、人口減少や少子高齢化の進行に伴う生産年齢人口の減少などにより、今後大きな伸びは見込めないことへの危惧を申し述べました。

令和7年度予算においては幸いにも市税収入は好転しましたが、他市に比べて法人市民税の割合が高い本市の市税収入は景気に大きく左右されるため、一時的に増収となることがあっても、今後の人件費の伸びや物価のさらなる高騰、国際的な経済リスクなどを踏まえると、長期的には決して安泰とは言えません。ひとたび景気が落ち込んだ時の税収の変動は、皆様もご記憶に新しいところだと思います。

一方、歳出面では、社会保障関連経費の更なる増加への対応やファシリティマネジメントの推進など、待ったなしの課題も依然として立ちはだかっています。

さらに、国の施策による事業費の財源補填や、国の制度であるふるさと納税の普及に伴う税源流出の一部に対する補填が交付税措置となっていることが、これまで創意工夫を重ねて築いてきた不交付団体の財源を圧迫し続けている状況について、私はこれまでにも再三、国に訴えてまいりましたが、依然状況は改善されておりません。

このような状況ではありますが、令和7年度予算は、各分野間のバランスに十分に留意しながら、市民の安全・安心と、さらに子育てや環境等の重要施策については、これまでの取組を決して後退させることなく、着実に前に進められるよう積極的かつ優先的に予算化するよう努めたところであります。

今後も継続的に既存事務の見直しを強化し、将来の小牧市に必要となる事業について選択と集中を加速し、都市ヴィジョン『こども夢・チャレンジNo.1都市』『健康・支え合い循環都市』『魅力・活力創造都市』の実現、ひいては「小牧市民憲章」に掲げる理想のまちの実現に向けて、一層邁進してまいります。

結びに

以上の方針により、私は小牧市長として、小牧市の将来を見据え、こどもが健やかに夢を育み、高齢者をはじめ誰もが安心して暮らせる小牧市、若い世代や子育て世代が住みたい、子や孫も住み続けたいと思う、魅力と活力あふれる夢ある小牧市を創造してまいる所存であります。

市制70周年を小牧市への愛着と誇りを醸成する機会とするとともに、こまきに関わるすべての人がつながり、市制100周年に向かって持続する小牧市の創造へと、皆様と心を一つにし、ともに更なる挑戦の一歩を踏み出すことのできる素晴らしい年となるよう、記念事業をはじめ各種事業を皆様とともに実施してまいります。

議員各位、並びに15万市民の皆様をはじめ、小牧市にかかわるすべての方々と力を合わせて、小牧市の明るい未来につながる更なるチャレンジと、市民の幸せのための市政運営に、決意と信念を持って、引き続き全力で取り組んでまいります。

小牧市政の推進に、皆様の格別のご理解とご支援をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

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