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令和6年施政方針(第1回定例会)

更新日:2024年02月27日

00:03 はじめに
05:15 基本認識
12:37 まちづくり推進計画 第2次基本計画
15:15 市政運営方針
19:04 予算編成方針
22:19 市政戦略編
37:04 分野別計画編(安全・環境)
40:38 分野別計画編(健康・福祉)
43:22 分野別計画編(教育・子育て)
47:40 分野別計画編(文化・スポーツ)
50:38 分野別計画編(産業・交流)
52:25 分野別計画編(都市基盤・交通)
57:44 自治体経営編
01:06:15 令和6年度予算規模
01:08:21 結びに

はじめに

令和6年小牧市議会第1回定例会の開会にあたり、市政運営に係る私の所信を申し述べますとともに、令和6年度当初予算案につきまして、主要な施策とその概要をご説明申し上げ、議員各位、並びに15万市民の皆様のご理解とご協力をお願いいたしたいと存じます。

はじめに、令和6年1月1日、石川県能登地方を震源とする最大震度7を観測した「令和6年能登半島地震」により犠牲となられた方々に対し改めて哀悼の誠を捧げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

小牧市としましても、発災直後から、消防隊員や災害派遣医療チームDMATを始め、救助・復旧活動へ市職員を派遣しているところであり、被災地の一日も早い復旧・復興を心よりお祈りいたします。

あらためていつ起こるか分からない災害に対して、想定外を想定する災害対応力の必要性を強く感じたところであり、小牧市の防災力の一層の強化に努めてまいります。

さて、私が4期目の市政を担わせていただくこととなり1年が経過いたしました。改めて、市民の皆様のご期待にお応えしていかなければならないという強い使命感を持って、本市の更なる発展と諸課題の解決に真摯に取り組むとともに、SDGsの理念を踏まえ、魅力と活力にあふれる持続可能なまちづくりに全力を尽くしてまいる所存であります。

昨年、私は4期目の市政運営のスタートにあたり、3年余り続いた新型コロナウイルス感染症からの回復・正常化をしっかり進めると申し上げました。

市の様々な事業や行事はコロナ禍前の規模で再開したところですが、小牧市民まつりをはじめとする各種イベントは、いずれもコロナ禍前を上回る来場者数となりました。また、各自治会等の夏まつりや三あい事業など地域交流事業についても再開を支援させていただいた結果、地域のつながりを取り戻し、まちに活気が戻るなど、昨年はまさにコロナ禍からの回復と正常化を大きく進展させることができた年になりました。

そして、市政においては、私が4期目のマニフェストで市民の皆様にお約束した51項目のほぼすべてについて予算化・着手し、その推進を図ってまいりました。

主なものとして、「教育・子育て」の分野では、県内初の市独自施策として、保育園・認定こども園・小規模保育事業所に通う0歳児から2歳児の保育料を無償化するとともに、学校給食費の無償化については、第3子以降の小中学生の無償化に加え、第2子中学生まで対象を拡大しました。また、経済的に困難な状況にある学生・生徒への進学支援事業の充実を図るなど、子育てに対する経済的負担の軽減を強化してまいりました。

そして、全面改築工事を進めてきた小牧南小学校の供用を開始し、「健康・福祉」の分野では、高齢者の健康増進や教養向上を図るため、第3老人福祉センター「田県の郷」をオープンいたしました。

「環境」の分野では、家庭からの二酸化炭素排出量の削減と、家庭における電気料金負担の軽減を図るため、蛍光灯や白熱電球からLED照明器具やLED電球に買替を行った費用について補助を行いました。

「地域活性化」の分野では、大河ドラマ『どうする家康』により小牧山に注目が集まる機会を合わせて、4月には小牧山歴史館を戦国時代の展示内容に特化・充実してリニューアルオープンし、全国から来訪された多くの方々に史跡小牧山の歴史的価値や魅力をお伝えすることができました。

そして、6月には、愛知県市長会の会長に就任し、国や県に基礎自治体の実情をしっかりとお届けするために活動してまいりました。引き続き愛知県市長会会長としての責務を全力で果たしてまいりますとともに、本年5月には34年ぶりに東海市長会が小牧市で開催され、東海4県の96市から多くの市長を本市にお迎えすることとなりますので、この機会に本市の魅力を大いにPRしてまいりたいと考えております。

基本認識

次に、社会経済情勢に対する私の基本認識について申し上げます。

我が国は今、歴史的な転換点に立っています。

経済に目を向けますと、日経平均株価は好調に推移しており、バブル期以来の史上最高値を更新しました。また、インフレを背景とした各国の金融政策の違いを反映する形で円安が進行しており、輸出企業の業績を押し上げています。さらに、賃金も上昇しており、昨年の賃上げ率は3.58%と30年ぶりの高水準を記録しました。

仮に緩やかな物価上昇とともに賃金が上昇していく経済好循環の状態が実現すれば、日本経済はいよいよ長らく続いたデフレから脱却し、経済を成長軌道に乗せることができるのでは、との期待が高まっています。

しかし、コロナ禍から経済活動が正常化する一方で、人手不足の深刻化や長引く物価高騰など、今後の日本経済の足枷ともなる問題も顕在化しています。

まず、人手不足についてです。

昨年のコロナからの回復・正常化の中で、タクシーやトラックのドライバーをはじめ様々な分野で、人手不足が顕在化しています。コロナ禍のうちに、人口のボリュームゾーンであった団塊の世代が後期高齢者となり、労働力人口の減少が進みました。人口減少への対応として、この十数年間に女性の就業率は上がり、定年後に働く人も増えましたが、今後は、就職する若い世代の人口が退職する世代の人口より大幅に少ないため、労働力人口の減少は加速する見込みです。そのため、人手不足は一時的なものではなく、少子高齢化・人口減少社会が本格化している中、更に深刻化していく可能性が高いと言えます。

労働力不足の問題は、生産年齢人口が急激に減少していく我が国においては容易には解消されない問題であり、長期にわたって日本経済に大きなマイナスをもたらす問題です。

そのため、私は、かねてより少子化対策や外国人材の活用などの抜本的な労働力維持政策として「人口戦略」を国において最優先課題に位置付けて全力を投じるべきであると考え、一昨年の9月に全国青年市長会を代表して岸田総理にお会いし「人口戦略を国の骨太の柱に据えること」の提言をいたしました。

また、本年1月18日に本市で開催した「外国人集住都市会議こまき2023」では、台湾や韓国などと人材確保競争が激化する中で日本が外国人から選ばれる国となるために、「国が国民的な議論に本腰をあげて着手し、本格的な人口減少に突入した我が国にとって外国人材が真に必要であることを説明し、人口減少社会の危機感と多文化共生社会のビジョンを共有する」ことを「こまき宣言」として、国に求めていくこととしたところであります。

もう一つは、物価高騰についてです。

原材料や資材、エネルギーや食料品などの物価高騰は私たちの日々の生活を直撃するだけでなく、あらゆる生産コストを上昇させ、自治体の財政や企業の経営を圧迫しています。

その大きな要因となっているのは、言うまでもなく歴史的な円安です。

世界的なインフレは落ち着きつつあると言われており、いずれ近いうちに米国のFRB(連邦準備制度理事会)が金利引き下げに動けば過度な円安は解消されるとの見方がある一方で、我が国の実質金利はマイナスで、なおかつマネタリーベースの拡大を続けている日本銀行の金融政策は円の貨幣価値を大きく下落させており、加えて近年は我が国の貿易収支・サービス収支ともに赤字に陥っていることから、これまでにないこうした構造的な問題が円安圧力となり、今後長期にわたって輸入物価の高騰を常態化させる可能性があり、食料やエネルギーを輸入に頼る日本経済の存立を危ぶませることになるのでは、と危惧しています。

私は、平成23年の市長就任以来一貫して、右肩上がりの時代から右肩下がりの時代への大きなパラダイムシフトのインパクトと、それに合わせて行政運営の考え方も抜本的に見直す必要があることを申し上げてきました。

長らく15万人を維持してきた小牧市の人口も、昨年10月にはついに15万人を割り込みました。高齢化率はいよいよ25%を超え、一方で、今後数年以内には市内の多くの小学校で1学年が1クラスとなり、クラス替えができなくなる見込みで、小牧市においても少子高齢化・人口減少が着実に進行しています。

地方自治体として、人口減少の影響は広範囲に様々な影響が懸念されますが、特に、学校施設や集会場をはじめ、道路設備や橋梁、上下水道などの社会インフラの維持・更新が将来大きな困難に直面することは明らかであり、そのため、今後のインフラの整備にあたってはこれまで以上に将来の需要や維持管理コスト等を見通した慎重な検討を行わなければならないものと考えています。

私は、以上申し上げたような基本認識に基づき、我が国の現状と将来に強い危機感を持っており、小牧市においても今後の市政運営はさらに厳しさを増すものと考えておりますが、そうした中にあっても新たな時代の潮流を見極め、変化を恐れず、見直すべきは抜本的に見直すなど、揺るぎない信念と決意をもって様々な行政課題の解決に取り組んでまいりたいと存じます。

折しも、令和6年は、本市の最上位計画である「小牧市 まちづくり推進計画 第2次基本計画」を本格的にスタートさせる重要な年であります。これまでの歩みを止めることなく、未来をしっかりと見定めて市政を着実に前進させてまいります。

まちづくり推進計画 第2次基本計画

私は、これまで「改革と創造の市政」「チャレンジする市政」を掲げ、こどもが夢を育み、高齢者をはじめ誰もが安心して暮らせる、持続可能な魅力と活力あふれる夢ある小牧の実現にむけて、未来を見据えた様々な改革と小牧市の明るい未来につながる新たなチャレンジに全力を注ぎ、信念とスピード感をもって市政を運営してまいりました。

令和2年2月には、小牧市民憲章に掲げる理想のまちを実現するため、自治基本条例に基づいて策定した初めての計画である「小牧市まちづくり推進計画 第1次基本計画」を策定いたしました。

この計画は、市政の軸となる考え方や戦略を示した「都市ヴィジョン」、「市政戦略編」や行政改革大綱にあたる「自治体経営編」を内包するなど、限りある行政の経営資源をより無駄なく最適に配分すると同時に、効果的・効率的で持続性が高い自治体経営を推進していくための仕組みを実装しており、4年ごとの市長選挙を起点とした8年計画を策定するローリング計画といたしました。

なお、この仕組みは、2022年の第17回マニフェスト大賞〈首長の部〉で上位5名に贈られる「優秀賞」に選出されるなど、外部機関からも一定の評価をいただいております。

今回、新たに策定した「小牧市まちづくり推進計画 第2次基本計画」は、第1次基本計画でまちづくりの機軸として掲げた3つの都市ヴィジョン『こども夢・チャレンジNo.1都市』『健康・支え合い循環都市』『魅力・活力創造都市』を承継するとともに、“誰一人取り残さない”持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すSDGsや、性別・人種・国籍・年齢・障がいの有無などの多様性を活かすダイバーシティの考えも包含しつつ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やカーボンニュートラルの実現など時代の潮流に対応すべく新たな視点を加えた計画といたしました。

今後のまちづくりは、この「小牧市まちづくり推進計画 第2次基本計画」に基づき、進めてまいります。

市政運営方針

第一に、「こども夢・チャレンジNo.1都市」であります。

これまで、「こども夢・チャレンジNo.1 都市宣言」や「小牧市地域こども子育て条例」の制定、「夢にチャレンジ助成金」などの創設のほか、「学習支援事業『駒来塾』」、「ひとり親家庭等支援事業」、「こまきこども未来館の開館」などに取り組んでまいりました。

また、子育て家庭への支援としては、「子育て世代包括支援センター」による妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない子育て支援体制の構築、「児童クラブの開所時間の延長」、「18歳到達年度末までの子ども医療費助成拡大」などに取り組んでまいりました。

今後も、これまでの取組を引き継ぎながら、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもたちが夢を育み、未来を描いて挑戦することができるまち、そして、来るべき未来社会を見据えて、充実した教育・子育て環境を実現する「こども夢・チャレンジNo.1 都市」を目指してまいります。

第二に、「健康・支え合い循環都市」です。

これまで、市民の健康づくりに向けて、本市独自の人間ドック制度や健康いきいきポイント制度の創設、各種検診・予防接種の充実、ウォーキングアプリ「alko」の開発、フレイル予防の実施、高齢者外出支援につながるこまき巡回バス「こまくる」の拡充、口腔ケアの充実などに取り組み、市民の健康づくりを応援してまいりました。そして、地域協議会の設立・運営支援、支え合いいきいきポイント制度の創設、ふれあい・いきいきサロンの設立・運営支援、こまき市民交流テラス「ワクティブこまき」の開設など、支え合いの地域づくりに取り組んでまいりました。

高齢者の割合が増え続ける中、地域で支え合って自分らしくいきいきと安心して暮らし続けることができる「幸せな高齢社会」を実現するため、今後も、健康・生きがいづくり支援と支え合いの地域づくりを両輪に「活力ある高齢社会(小牧モデル)」による「健康・支え合い循環都市」を目指してまいります。

第三に、「魅力・活力創造都市」であります。

これまで、小牧市の将来を見据えて、市内企業の操業支援、企業の誘致、産業集積の推進や、市内の消費循環を高めるこまきプレミアム商品券事業、史跡小牧山や小牧発祥の名古屋コーチンなどを核とした観光振興などに取り組み、小牧市の魅力と活力を高めてまいりました。

地域ごとの取組としては、小牧市中央図書館の開館や「小牧市中心市街地グランドデザイン」に基づく取組等による中心市街地のにぎわいの創出、人口減少が進む東部地域における魅力の向上等に取り組んでまいりました。

今後も、持続可能な魅力と活力あふれる小牧市を実現するため、若い世代や子育て世代が住みたい、住み続けたいと感じられる魅力あるまちづくりを進めるとともに、地域経済を支援し、まちの活性化を図り、バランスの良い産業集積を今後も持続的に高めることにより、経済・雇用・財政の基盤が確立された、将来にわたって輝き続ける「魅力・活力創造都市」を目指してまいります。

予算編成方針

次に、令和6年度予算編成についてであります。

本市の財政状況でありますが、歳入においては、本市の歳入の根幹をなす市税収入は、個人市民税については、個人所得は増加傾向にあるものの、制度改正等の影響により減収となる見込みであり、固定資産税についても、企業の設備投資の伸び悩みから償却資産税を減収と見込んだことなどにより、対前年度比で減収と見込みました。

歳出においては、高齢化の進行による医療費の増大等に伴い、国民健康保険や介護保険、後期高齢者医療の各特別会計への繰出金や扶助費を含む社会保障関連経費の増加が続いていることに加え、人件費や物価の急激な上昇が、委託料を始め様々な経費の上昇圧力となっています。

さらに、法人市民税の一部国税化や会計年度任用職員の処遇改善など、近年の制度改正や国の政策による減収と支出の増加が、普通交付税の不交付団体である本市の財政を急激に圧迫しており、歳出の伸びに対応した財源の確保が困難になっています。

こうした厳しい財政状況の中においても、安全・安心・快適な市民生活を最優先としつつ、より一層の行財政改革を進めることが必要不可欠であります。

令和6年度の予算編成にあたっては、「小牧市まちづくり推進計画 第2次基本計画」を推進し、行財政改革の取組を更に力強く進めるとともに、限られた財源を最大限に活用する観点から、施策全般にわたり各事業の緊急度・重要度を見極め、例年以上に事務事業の見直しと経費の節減合理化を行うことにより、歳出予算の増加を抑制し、あわせて基金などを活用することにより、重要施策に対して重点的に予算を配分いたしました。

また、SDGs未来都市に選定された尾張地域初の自治体として、“誰一人取り残さない”持続可能で多様性と包摂性のある小牧市の実現に向けて十分に意を配するとともに、議員各位や市民の皆様からいただいたご意見、ご要望を十分に検討した上で可能な限り市政に反映し、皆様のご期待に十分応え得るよう編成したところであります。

それでは、来年度の主要な事業と施策の概要について、以下、令和6年度当初予算案を中心に、「小牧市まちづくり推進計画 第2次基本計画」の構成にあわせて、「市政戦略編」の3つの戦略、「分野別計画編」の6つの分野、更に「自治体経営編」の順にご説明申し上げます。

<市政戦略編>

まず、市政戦略編であります。

戦略の第一、「すべてのこどもたちが夢を育みチャレンジできる環境を創出」についてです。

小牧市の誇る「子育て支援が充実している」姿を一層高めるため、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもたちが夢をはぐくみ、夢へのチャレンジをまち全体で応援できる環境を構築するとともに、来るべき未来社会を見据え、こどもたちが社会の変化とともに自らを成長させ続け、生き抜いていける確かな力を身に着けるための環境を整備してまいります。

すべてのこども達が夢を育み挑戦できるよう整備した「こまきこども未来館」は、間もなく開館から3年を迎え、市内だけではなく、市外からも多くのこども達を受け入れ、これまでに70万人以上の方にご来館いただいております。こどもを中心に世代を越えて市民がつながる「こども夢・チャレンジNo.1都市宣言」の理念を体現する施設として、「未来リテラシーを育む」というコンセプトのもと、こどもたちにこれからの未来を力強く生き抜く力を育てる豊かな「学び」を提供してきました。

また、多くの企業や団体に参画いただいております「こまきこども未来大学」や、ものづくりに携わる人材を育てる「少年少女発明クラブ」など多彩な講座を実施することで、こども達の夢への挑戦をまさに「みんなで」応援する体制を整えてきたところであります。引き続き、地域のサポーターや企業などと協力し、様々な講座の開催やこどもたちの自主的な活動を支援していくことでこまきこども未来館が「こどもの居場所」となるように運営してまいります。今後も、本市の充実した子育て環境を市内外に強力に発信し続けるとともに、小牧のこども達やまちの「成長のシンボル」として、いつまでも愛される施設を目指してまいります。

様々なスポーツ選手による「夢先生」を市内全小学校に派遣する「夢の教室」につきましては、令和6年度についても小学5年生を対象として実施し、こどもたちの健全な心身の成長を図ってまいります。

また、十分な学習環境に恵まれない中学生を対象とした、無料の学習塾「駒来塾」についても、元教員の方や大学生などの協力を得て、市内全域の4教室で実施し、基礎学力の定着に向けた支援を継続してまいります。

進学する向上心に富みながらも、経済的に困難な状況にある学生・生徒の進学を支援するため、交付金制度を継続し、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもが希望する教育を受けられるように支援してまいります。

妊娠期から子育て期にわたり切れ目のない子育て支援を行う「子育て世代包括支援センター」では「すくすく子育て応援事業」として、妊娠・出産・産後の切れ目のない相談体制の充実と、妊娠時の「たまごギフト」、出産後の「ひよこギフト」を交付する経済的支援とを一体的に進めることにより、すべての妊婦・子育て家庭が安心して出産・子育てできる環境の充実を図ってまいります。

また、本市独自の少子化対策の拡充として所得や出生順位に関わらず、保育園・認定こども園・小規模保育事業所に通う0歳児から2歳児までの保育料を無償化するとともに、多子世帯に係る学校給食費の無償化を継続してまいります。

「未来を見据えた教育環境の整備」につきましては、小中学校におけるデジタル機器を活用した授業が円滑に展開できるよう、機器を順次更新してまいります。ICTの活用により、こどもたちが情報を収集し活用する能力を伸ばし、新たな時代に自ら未来を切り拓いていくことができる力を育む教育を進めてまいります。

建築後50年以上が経過しており、老朽化に加え狭あい化も課題である米野小学校につきましては、施設の改築に向け、実施設計を行います。

学校施設の老朽化に加え、児童生徒数の減少が今後急速に進む見込みでありますので、昨年設置しました「小牧市新たな学校づくり推進計画検討委員会」において、将来を担うこどもたちにとってより望ましい教育環境の基本的な考え方や、その考えに基づく学校施設の適正規模・適正配置等について引き続き検討を行ってまいります。

戦略の第二、「“健康・生きがいづくり”と“支え合いの地域づくり”の循環により、自分らしくいきいきと安心して暮らすことができる 『活力ある高齢社会(小牧モデル)』を構築」についてであります。

加速する高齢化の問題に対応し、高齢者が安心して暮らし続けることができる幸せな高齢社会を実現するためには、市民の健康・生きがいづくりを応援し、市民の皆様とともに支え合いの地域づくりを進め、高齢者をはじめとする市民の「健康」と「支え合い」が地域内で循環する「活力ある高齢社会」を築いていくことが重要であり、市長就任当初より目指すまちの姿として掲げ、その実現に向け精力的に取り組んでまいりました。

令和6年度は、健康づくりとフレイル予防を推進する拠点となる施設を多世代交流プラザ内に整備し、子どもからお年寄りまで、それぞれのライフステージにあった健康づくりやフレイル予防に取り組むための“気づき”や”きっかけ”を提供し、習慣化を目指してまいります。

市民活動、ボランティア活動、地域活動、生涯学習活動等様々な活動をつなぐ拠点として多くの方にご利用いただいております市民交流テラス「ワクティブこまき」では、わかもの担い手育成事業「こどものまち」と市民活動祭を同時開催し、まちづくり人材の世代交流を創出するほか、ボランティア養成講座「オトナのちょこボラカレッジ」の開催や、ボランティア情報配信LINEなどデジタルの活用によるボランティアのマッチングを通して、地域課題や社会貢献について考え、参加するきっかけづくりを行ってまいります。

小学校区単位で地域の特色を活かした活動に取り組む地域協議会につきましては、より一層の活動の支援を行い地域の絆を強化するとともに、住民主体の地域活動の活性化を図ってまいります。また、現在、村中小学校区において設立準備委員会が組織され、設立に向け調整中でありますが、設立に至っていない地域に対しても、説明会の開催や地域の課題を話し合う場づくり等を通じて、設立の機運を高めてまいります。

市民の健康づくりの取組に対してポイントを付与し、市内限定商品券等に交換できる「こまき健康いきいきポイント制度」につきましては、楽しく継続的に健康づくりができるウォーキングアプリ「alko」の活用とあわせて、より多くの方にご利用いただき、健康づくりの習慣化を図ってまいります。

市民の支え合い活動に対してポイントを付与し、市内限定商品券で還元する「こまき支え合いいきいきポイント制度」につきましては、市内の介護施設等でのお手伝い、地域でのサロン活動等への協力、地域協議会を通じた日常生活の困りごと支援を対象として、令和5年12月末現在、1,340人の方々に「お互いさまサポーター」としてご登録いただいております。

今後も、元気な高齢者をはじめ更に多くの市民の皆様に「お互いさまサポーター」としてご登録いただき、参加者ご自身の介護予防や健康づくりと、活動の継続の励みとしていただくことで、地域の支え合い・助け合い活動が活発になるよう周知啓発に取り組んでまいります。

これらポイント制度をはじめとする、「健康づくり」と「支え合いの地域づくり」への取組が、市民一人一人の行動変容につながり、地域内で循環することで、活力ある幸せな高齢社会が実現されるよう鋭意取り組んでまいります。

戦略の第三、「『住みたい』『働きたい』『訪れたい』魅力あふれる小牧を創造」についてであります。

市民の愛着や誇りを醸成し、市内外から支持される魅力あるまちづくりを進めるとともに、本市の強みであるバランスの良い産業集積を持続的に高め、企業の新事業展開や生産性の向上を支援し、将来にわたって経済・雇用・財政の基盤が確立された活力あるまちを構築してまいります。

本市の魅力やブランドコンセプト“夢・チャレンジ 始まりの地 小牧”またブランドの柱であります『こども夢・チャレンジNo.1都市』及び『史跡小牧山』につきましても、積極的かつ効果的な発信を行ってまいります。

史跡小牧山では、これまでの発掘調査の成果を基に、令和3年度から令和7年度までの5か年をかけて、山頂の織田信長が築いた石垣復元整備工事を実施しており、令和6年度は歴史館北東側部分の整備を行います。また、昨年放映された大河ドラマでは、徳川家康の波乱に満ちた生涯が描かれ、小牧山は、小牧・長久手の合戦で織田(のぶ)(かつ)・徳川家康連合軍が本陣を敷いた地として、大河ドラマだけでなく関連番組でもたびたび取り上げられ、注目が集まっております。本市が令和7年1月に市制70周年を迎えるタイミングでもあり、この機会をとらえて、市内外の皆様に、三英傑が関わった希少な歴史スポットであります小牧山の魅力をお伝えしてまいります。

中心市街地につきましては、「小牧市中心市街地グランドデザイン」に基づき、将来にわたって魅力があふれ、活力が持続する中心市街地としていくため、当面の取組をまとめた「小牧市中心市街地グランドデザインアクションプラン」に位置付けられた小牧駅周辺整備事業や小牧山東公園整備事業をはじめとした各種取組を進め、まちの将来像の実現を目指します。令和6年度は、住民や商店、関係団体等がつながる場である「中心市街地まちづくりプラットフォーム」などを通じて中心市街地の活性化を目的に集い・出会った人々が、自ら企画を立ててチャレンジしながら街を元気にしていくプロジェクトである「コマナカmeet」を実施し、中心市街地において市民等による自主的なまちづくり活動が継続的に展開されるよう支援してまいります。

桃花台地区をはじめとする東部地域につきましても、「東部振興構想」の実現に向けて、地域に関わる様々な主体がつながる場となる「東部まちづくりプラットフォーム」の拡充を図るとともに、住民等によるまちづくりの取組促進を図るため、トライアル活動に対する支援を行ってまいります。

北西部地区につきましては、北西部地区公園及び関連する道水路の実施設計などを行い、着実に事業進捗を図るとともに、渋滞の緩和に向けた道路整備や治水の向上などにも努めてまいります。

産業振興については、令和5年3月に改定した「小牧市企業新展開支援プログラム」に基づき、事業承継に関する課題解決の促進のため、愛知県事業承継・引継ぎ支援センターと連携し、市役所内で定期的に無料の事業承継相談窓口を設置するほか、中小企業を対象にしたデジタル化支援補助金やウェブサイト・ECサイト導入等に対する補助金制度などによる支援や、市内工場で地場産品を製造・加工するための設備導入に対する補助金を創設するなど、引き続き市内中小企業の経営革新を支援してまいります。

企業立地・次世代産業の推進においても、本市への積極的な立地を図るとともに、長年にわたり地域の経済や雇用を支えてきた企業が、市内での事業活動を継続するための工場の増設や設備投資に係る費用の支援継続に加え、次世代産業の推進に係る補助を行ってまいります。

また、小牧商工会議所と連携して実施しております「こまきプレミアム商品券」につきましては、“がんばる小牧の応援券”として、地域内循環を生み出すための経済的トリガーを目的に、私の市長就任以来継続して実施してきました。市内の商業者、特に中小商業・サービス事業者を支援し、地域経済の活性化を図るため、令和6年度についてもプレミアム率20%、総額14億4千万円の規模で拡大実施してまいりますので、多くの皆様にご利用いただきたいと思います。

以上の戦略を核として、更に各分野にわたる様々な施策を組み合わせることで、小牧市の総合力を高め、まちづくりの機軸として掲げた『こども夢・チャレンジNo.1都市』『健康・支え合い循環都市』『魅力・活力創造都市』を実現するとともに、急速に進む高齢化と人口減少に対応し、「活力ある幸せな高齢社会(小牧モデル)の創造」と「若年世代・子育て世代の転入・定住の促進」を図ってまいります。

<分野別計画編>

次に、分野別計画編についてであります。

(安全・環境)

まず、安全・環境についてであります。

防災・減災では、冒頭申し上げましたとおり、今年は元日に石川県能登地方を震源とする大地震が発生しました。現地の状況についての情報がもたらされるに連れて、物資面だけでなく、災害に強いまちづくり、そして避難所の運営をはじめとした平時からの備えの重要性が改めて注目されております。また、地震に限らず、毎年のように台風やゲリラ豪雨等の被害が全国各地で発生しており、市民の皆様の災害への備えに関する意識も高まっています。このような中、令和6年度は10月に大地震の発生による災害を想定した総合防災訓練を、岩崎中学校をメイン会場として実施いたします。また、住民主体による各小学校区単位の防災訓練の同時開催を呼びかけ、訓練をとおして防災体制の強化に努め、災害に強いまちを築いてまいります。

交通安全・防犯につきましては、令和4年の交通死亡事故ゼロから、昨年は残念ながら3件の事故があり、3名の方が亡くなられました。今年は、事故後24時間以上経過していたため、「交通死亡事故」扱いではないものの、すでに1名の方が交通事故をきっかけに命を落とされています。いずれも横断歩道上での事故であり、このようないたましい事故が起きないよう、引き続き小牧警察署、そして地域の皆様と連携した交通安全啓発活動を推進してまいります。

また、児童生徒の登下校時における見守りの強化のため、通学路等に設置する防犯カメラを昨年までの100台から今年は200台に倍増し、運用を開始いたします。

消防・救急につきましては、昨年の救急出動件数が7,908件となり、統計開始以降最多件数となりました。救急出動件数は、高齢化の進展に伴い右肩上がりの状況にありますので、令和5年度中に救急自動車を1台追加配備するとともに、令和6年度からは常時運用する救急自動車を6台体制にしていくことで、増加する救急事案に迅速に対応してまいります。

一方、地域に密着した消防防災活動を行っている消防団の拠点であります消防団車庫につきましては、建物及び敷地の狭あい化の課題がありましたので、第2分団車庫の移転建替えを行ってまいります。

ごみ・資源・エネルギーにつきましては、カーボンニュートラルの実現に向け、市内から排出される温室効果ガス排出量の削減の取組をさらに進めるため、公共施設における照明のLED照明への更新や、省エネルギー型機器・再生可能エネルギーを導入する市民に対する補助を行います。また、「破砕ごみ」や「燃やすごみ」として排出していた「プラスチック製品」を、資源として「プラスチック製容器包装」と同じ指定袋に入れて排出できるようにすることで、市民の利便性の向上につなげるとともに、家庭から排出されるごみの削減及び資源循環を推進してまいります。

(健康・福祉)

続きまして、健康・福祉についてであります。

健康・予防につきましては、事業所の自主的な健康経営を推進するための顕彰制度の創設や、健康経営セミナーの開催により、市内の事業所が、従業員及びその家族の健康管理を経営視点で捉え、自主的な取り組みを支援することにより、健康づくりに時間を取りづらい働き世代等の健康づくりの習慣化を目指します。

また、個別歯科健診では、40歳以上の方を対象に実施している「いきいき世代個別歯科健診」に、65歳以上の高齢者に限らずオーラルフレイルに関する健診項目を追加し、歯科保健指導と合わせて実施してまいります。

更に、がん対策として、口腔がんは、早期発見が非常に重要な疾患であるため、検診の実施回数を拡充するとともに、子宮頸がん予防として、HPVワクチンの接種勧奨の実施及び接種機会を逃した方を対象としたキャッチアップ接種を進めてまいります。学校における「がん教育」とも連携しながら、がんの正しい理解を促し、がん予防を推進してまいります。

介護・高齢者福祉につきましては、昨年6月1日より名鉄田県神社前駅北側に第3老人福祉センター「田県の郷」が供用開始し、多くの方にご利用いただいております。公共交通機関でアクセスしやすい立地となっていますので、多くの皆様に足を運んでいただき、健康増進と教養向上を図ってまいりたいと思います。

障がい者(児)福祉につきましては、障がいのある方が住み慣れた地域で安心して暮らすために、視覚障がいのある方が白杖を用いて安全に歩行できるよう、視覚障害者リハビリテーションワーカー(歩行訓練士)を派遣し、歩行訓練を行います。また、身体障害者手帳の交付対象とならない、18歳以上の中等度難聴者で市民税非課税世帯の方が補聴器を購入する際に、費用の一部を助成してまいります。

医療保険・地域医療につきましては、市民病院の経営を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあり、令和5年度に策定いたしました「小牧市民病院経営強化プラン」に基づき、経営改善に向けた取組を進めてまいります。今後も、尾張北部医療圏における中核病院として、地域の医療機関との連携を深め、救急医療やがん診療、高次医療などを中心に更に機能を充実させ、安全で良質な医療の提供に努めてまいります。

(教育・子育て)

続きまして、教育・子育てについてであります。

まず、学校教育についてであります。

貧困やネグレクト等、家庭環境に問題を抱える児童生徒を支援する「スクールソーシャルワーカー」につきましては、令和6年度は2名増員し、6名体制で対応してまいります。教育、福祉、警察などの関係機関が連携してきめ細かなケアを提供する体制を更に強化してまいります。

次に、出会い・結婚・子育て支援についてであります。

我が国では少子化が進んでおり、令和5年の全国出生数は80万人を下回り、持続可能な社会の維持が危ぶまれる段階に差し掛かっていると認識しています。また、核家族化の進行や地域とのつながりの希薄化などから、子育てに不安や孤立感を感じる家庭も少なくないのが現状でありますので、子育てをしている誰もが、安心して子育てができる環境を整えるとともに、地域ぐるみでこどもの成長を見守り、健やかな育ちを応援できる体制の整備が急務であります。

かねてより、戦略の第一でご説明申し上げた施策により、子育ち・子育ての更なる環境整備を図っているところでありますが、その取組を更に推進してまいります。

私は、こどもにかかる費用は、保護者だけでなく社会全体で負担していくことが望ましく、また、家庭環境や境遇に関わらず、すべてのこどもが等しく支援されるべきと考えております。

「ヤングケアラー」という、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話等を日常的に行っているこどもへの支援として、家事支援ヘルパーの派遣や、子育て世代包括支援センターに配置した専門職のコーディネーターを活用してまいります。

両親の離婚によりひとり親家庭で育つこととなったこどもが育つうえで、養育費支払いの履行は重要ですが、未払いのケースが見受けられることから、養育費の取り決めにかかる費用の助成制度を新たに設け、ひとり親家庭の安定した生活とこどもの健やかな成長を図ります。

児童クラブと放課後子ども教室を一体的にまたは連携して行う「放課後子ども総合プラン」は、令和3年度にモデル事業を開始し、順次実施校を拡大してまいりましたが、令和6年度は全小学校で実施してまいります。

食事の提供によりこどもの孤立や孤食を防止し、こどもが地域で安心して過ごせる居場所を提供する「こども食堂」の安定的かつ継続的な運営を支援し、あわせて、行政等の支援が必要なこどもを必要な支援に繋げるため、児童館と連携したこども食堂に対し、運営費の支援を行ってまいります。

子ども医療費につきましては、令和4年9月診療分から高校生等の通院分にかかる医療費助成を開始し、18歳以下のすべてのこどもの保険診療自己負担ゼロとしたところであり、引き続き子育て世帯の経済的負担の軽減に努めてまいります。

今年度より新設した「出会い・結婚支援室」において、出会いの場の提供や結婚にかかる経済的支援を行うことで、若年世代が希望する結婚の一助となるだけでなく、社会全体で結婚を応援するという機運の醸成に繋げてまいります。

次に、幼児教育・保育についてであります。

園舎の老朽化、園児数の減少が進んでいる第一幼稚園と立地条件の問題が顕在化している大山保育園を統合する(仮称)第一こども園の整備につきましては、令和9年度の開園を目指し、基本設計・実施設計の策定を行ってまいります。また、施設の長寿命化と陶保育園との統合を見据えた保育環境整備のため、古雅保育園の改修工事を行ってまいります。

保育施設における使用済みおむつの施設内処分を推進し、子育て世代の負担軽減を図るとともに、保育現場の業務負担軽減効果により、手厚く保育にあたる時間を確保し、充実した保育提供体制につなげます。

(文化・スポーツ)

続きまして、文化・スポーツについてであります。

まず、スポーツについてであります。

市民の誰もがスポーツに取り組むことができる「市民総スポーツ」の環境を整備するため、令和5年度にさかき運動場に整備した全天候型舗装のフットサルやテニスができる多目的コートを、令和6年度から供用開始いたします。令和8年度開催の「第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)」の会場となる小牧市スポーツ公園総合体育館について、国際大会に対応した施設とするため、令和6年度はトイレ改修やバリアフリー化などの設計を行います。

なお、施設の劣化に伴い現在休館としております温水プールにつきましては、施設全体の劣化調査及び耐震診断の結果を踏まえ解体することとし、令和6年度に解体設計委託料を計上いたしました。

スポーツイベントでは、令和7年3月頃に「プロ野球オープン戦」を招致し、多くの市民の皆様にプロフェッショナルな技術に触れていただく機会を提供してまいります。

次に、文化・芸術についてであります。

令和5年度から長期休館し、大規模改修を行っている市民会館・市公民館につきましては、引き続き老朽化したトイレや空調機などの改修を行うとともに、市公民館講堂及び展示場の改修や市民会館ホールの舞台照明設備の更新工事を行い、令和6年度中に再開いたします。

男女共同参画では、令和4年度からを計画期間とする「第4次小牧市男女共同参画基本計画ハーモニー4.」に基づき、男女が互いにその個性と能力を十分に発揮することによって、多様な性を尊重する社会の推進に努めるとともに、誰もが安心して暮らすことができるまちを目指してまいります。

多文化共生につきましては、本市は全国でも有数の外国人集住都市であり、現在外国人市民が1万人を超えている状況であります。本年1月には、本市が座長都市となり「外国人集住都市会議 こまき 2023」を開催いたしました。現状においても外国人市民の増加、定住化が進行しておりますが、今後は、労働力不足を背景に外国人材の必要性が一層高まっていくと予想されますので、多言語による情報提供や相談対応の充実を図るとともに、市国際交流協会と連携して市民参加の交流事業を実施し、引き続き多様性を都市の活力とする支え合いの多文化共生を推進してまいります。

産業・交流)

続きまして、産業・交流についてであります。

シティプロモーションにつきましては、「こまき令和夏まつり」「こまき信長夢夜会」「小牧市民まつり」等のイベントについては、令和5年度に、コロナ禍以前の規模に戻して再開したところ、いずれもコロナ禍前を上回る来場者数となり、非常に多くの方に楽しんでいただくことができました。令和6年は昨年の大河ドラマにおいても注目されました、小牧・長久手の合戦から440年の節目の年であり、令和7年1月には本市が市制70周年の節目を迎えることから、引き続き、多くの皆様に楽しんでいただけるイベントとして、趣向を凝らして開催してまいります。

姉妹都市・友好都市交流につきましては、ワイアンドット市への中学生派遣、グラント郡中学生の受入、市内中学生とグラント郡の生徒とのリモートによる直接対話型の交流を引き続き実施してまいります。

私の市長就任後に、元の計画から規模を縮小するなど大きく見直しを図り、皆様とともに検討してまいりました「(仮称)小牧市農業公園」につきましては、身近な農業を通じた食の大切さを理解する場とするとともに、里山を生かし自然環境とのふれあいを通じた農業振興の発信の場を目指して、令和5年度に引き続き粗造成工事を行うとともに、公園及び建築の実施設計を進めてまいります。

歴史・文化財については、歴史民俗資料の展示施設をラピオビル4階にあります市民ギャラリーに整備するため、実施設計を行ってまいります。

(都市基盤・交通)

続きまして、都市基盤・交通についてであります。

まず、市街地整備についてであります。

都市計画につきましては、令和5年度に引き続き、都市計画マスタープランや立地適正化計画の改定を進めるとともに、小牧駅周辺において、こまきこども未来館や小牧市中央図書館をコロナ禍の中オープンしましたが、昨今、人の流れが安定してきたことを鑑み、現状の駐車場の需給バランスを調査し、小牧市駐車場整備計画を改定いたします。

都市景観につきましては、本市は、令和5年6月に、景観法を活用した施策を推進する景観行政団体へ移行しました。令和6年度は、景観行政を取り巻く状況や市民ニーズの変化に対応するため、景観法に基づく新たな小牧市景観計画の策定を行います。

土地区画整理事業につきましては、継続事業の進捗を図るとともに、小牧南土地区画整理事業の施行に伴い整備した、8号調整池の不具合に対する本復旧工事を完了させ、被害を受けた隣接家屋の調査および補償等を行います。また、不具合の原因者に対して、損害賠償を求める調停の申立てを行いました。

次に都市交通についてであります。

まちづくりと連携した地域公共交通ネットワーク形成を促進し、持続可能な公共交通を維持するため、利用者をはじめ市民の方々の声をお聴きしながら、地域公共交通計画の策定を進めるとともに令和8年4月に予定しているこまき巡回バス「こまくる」の再編の検討を進めます。

また、市民の日常生活の足を支えているこまき巡回バス「こまくる」のサービス水準の維持に向け、懸念される路線バスの運転手不足に対応するため、令和6年度においても、自動運転の実証調査を行います。

道路・橋りょうについてであります。

道路整備につきましては、主要道路の整備を計画的に進めるとともに、市民生活に密着した狭あい道路の整備促進を図ってまいります。

また、老朽化が進行している橋りょうなどの道路施設につきましては、点検・維持修繕を計画的に進め、安全確保に努めてまいります。

なお、中央自動車道に架かる大山橋につきましては、未供用でコンクリート片の落下等による被害リスクが高いことから、令和7年度の撤去に向けNEXCO(ネクスコ)中日本と連携しながら準備を進めてまいります。

上下水道につきましては、安全な水道水の安定的な供給や、下水道の整備・普及による衛生的で快適に暮らせるまちを目指し、施設の整備や維持管理を行うとともに効率的な運営に努めてまいります。

河川・水路につきましては、集中豪雨などにより、浸水被害に遭われている地域の対策を行うとともに、国、愛知県が実施する事業に合わせて準用河川の新川や小針川についても改修工事を引き続き実施してまいります。

公園・緑地・緑道についてであります。

公園整備につきましては、地域住民の憩いの場としてだけでなく、災害時の一時的な避難場所としての利用も期待される北西部地区公園の、用地購入や実施設計などを行ってまいります。また、太良(だいら)まめなしの里や宮前公園などの整備を実施するとともに、町屋公園などの実施設計を進め、今後も市民ニーズを踏まえながら、地域に根ざした新たな公園を計画的に整備してまいります。

公園管理につきましては、児童遊園の除草や清掃などの日常管理委託を民生委員・児童委員から地元区に変更するとともに、各地元区による持続可能な管理とするために各地域の実情に応じた管理方法に見直しを行い、安全で快適な公園の維持に努めてまいります。

住宅・居住についてであります。

住宅につきましては、相続人不存在の空家等について、相続財産清算制度を活用し、建物の管理・清算を行うほか、適切に管理されていない空家等につきましては、所有者の特定を効率的に行うため、相続人調査を公益社団法人愛知県公共嘱託登記司法書士協会へ引き続き委託してまいります。

また、空家等対策の推進に関する特別措置法が令和5年12月13日に改正されたことに伴い、令和7年度に小牧市空家等対策計画を見直すため、空家等の実態調査を進めてまいります。

さらに、若年世代の定住促進については、令和5年度に本市の使用料における「子ども」の規定を18歳以下に統一したことを受けて、定住促進補助金の対象条件のうち「義務教育修了前」を「18歳以下」に改めるとともに、より多くの方にご利用いただけるよう、重複支給を見直すこととしました。

<自治体経営編>

続きまして、自治体経営編についてであります。

私は、市長就任以来、一貫して「改革と創造の市政」を推進してまいりました。

市民の利便性向上や行政事務の効率化に資するものとして、スマート窓口の導入、市民病院の患者外来受診支援システムの導入、オンライン申請の推進、新たな施設予約システムの導入など、ICTの活用、デジタル化、オンライン化に注力してまいりました。

技術革新が劇的に進む分野であるため、引き続き、行政のデジタル化により一層、積極的に取り組み、Society(ソサエティ)5.0に向かって加速する社会に対応してまいります。

まず、協働・情報共有についてであります。

情報メディアのデジタル化が進む中、市政情報の発信手法も多様化し、これまで主体であった紙媒体の広報こまきよりも即時性の高い、ホームページやSNSの充実に努めているところであります。

市内129の区長の皆様に担っていただいている自治会活動の事務の軽減を図るため、電子連絡網アプリ「(ゆい)ネット」の各区への導入を推進し、回覧物のデータ配信や、避難所開設情報などの地域ごとに必要な防災・防犯情報などの配信体制を整備いたします。区長等から区民への行事や会議の案内などの連絡も可能となることで、事務の効率化や負担軽減を図り、効率的な区の運営を支援してまいります。

デジタルで発信する市政情報を市民の皆様に受け取っていただき、高齢者をはじめとした誰もがデジタルによる情報を活用することができるよう、情報格差、いわゆるデジタルデバイドを解消するために、引き続き市内各公共施設においてスマホ教室や個別相談会等を開催してまいります。

次に、行政サービスについてであります。

多様化する市民ニーズやライフスタイルに対応したサービスを提供するため、行政手続きのオンライン化やキャッシュレス決済の拡充など、引き続きICTを活用した窓口業務などの改善に取り組むとともに、民間活力の活用や適切な連携を推進してまいります。

続いて、行政運営についてであります。

住民基本台帳、税、福祉など自治体の主要な業務を処理する情報システムである「基幹系システム」について、国が策定した標準仕様に準拠したシステムである「標準準拠システム」に、令和7年度までに移行するよう求められております。政府共通のクラウドサービスである「ガバメントクラウド」上にシステム環境を構築するほか、庁内からガバメントクラウドに接続するための回線を整備するなど、移行作業を進めてまいります。

最後に、財政運営についてであります。

これまで本市は、堅調な市税収入に支えられて、全国でも屈指の健全財政を維持してまいりましたが、少子高齢化の進行、法人市民税の一部国税化、社会保障関連経費の増加、国の施策による支出の増加などにより、健全性は保ちつつも厳しさを増す状況については、毎年施政方針の中でも危惧している旨申し上げてまいりました。

これまで、本市を取り巻く財政状況が徐々に厳しさを増す中にあっても、市として取り組むべき事業、例えば、子育て世帯への支援策として本市独自に実施しております、2歳以下の児童にかかる保育料の無償化や、多子世帯の中学生等にかかる給食費の負担軽減事業などを、積極的に実施してまいりました。令和6年度においても、財源が厳しい中ではありますが、古雅保育園の大規模改修に着手するほか、小規模保育事業所や新たな私立保育園を公募するなど、引き続き子育て環境の整備に力を注いでおります。

しかし、令和6年度は令和5年度に比べて、保育園を中心とした職員の増員や国の制度改正に伴う会計年度任用職員への勤勉手当の支給開始による人件費の増、障害者自立支援等給付費や子ども医療扶助費などの増加に伴う扶助費の増、高齢化の進行などに伴う、国民健康保険や後期高齢者医療、介護保険の各特別会計への繰出金の増など、経常的な費用が大幅に増加いたしました。

さらに、このような人件費の上昇や物価高騰に伴う委託料の増加、高齢化の進行や福祉の多様化に伴う扶助費や繰出金等の増加は今後も続くことが見込まれ、予算に占める経常的経費の割合の上昇は続くものと考えます。加えて、米野小学校や(仮称)第一こども園、北西部地区公園などの施設整備が本格化することにより、財政需要はさらに高まっていくことが見込まれます。

増加が見込まれる歳出に対して、それを賄う歳入の根幹である市税収入につきましては、人口減少や少子高齢化の進行に伴う生産年齢人口の減少などにより、今後大きな伸びは見込めないことに加え、小牧市民が他の自治体に寄附、ふるさと納税をすることによる税源流出額の増加が、今後の財政運営にとって、非常に危惧されるところです。

社会保障関連経費の増加は、障害者の社会参加の進展のほか高齢化の進行に伴う医療費の増加や、国民健康保険制度の構造的な問題などを背景としており、人口規模や年齢構成などにより影響額に差はあるものの、全国共通の課題であります。

また、近年の国の施策に伴う事業の中には、すべての地方公共団体が行う事業でありながら、地方への財源措置を交付税措置としている事業が多数あります。これらについて、普通交付税の不交付団体である本市は一般財源を投入して実施せざるを得ない状況であり、財政の硬直化が進む大きな要因となっております。

これらの問題は、一地方自治体である本市のみで解決できるものではありません。

先に、予算編成について申し上げたとおり、社会保障関連経費の増加や人件費の上昇、さらには近年の制度改正や国の政策などにより、普通交付税の不交付団体である本市の財政状況は、急激に余力を失いつつあります。

このように、歳入の根幹である市税収入の見通しは厳しく、歳出は財政状況が今後さらに厳しくなる見通しの中で、今後も力強く市民の生活をお支えしていくためには、令和6年度予算で計上しております「集会施設検討会議」や「新たな学校づくり推進計画検討委員会」のように、市民の理解を得ながら、市の施設の適正配置を検討していくなど、ファシリティマネジメントの推進を徹底しつつ、既存事業の見直しをさらに強化していく必要があり、将来の小牧市に必要となる事業について選択と集中を加速し、より効果の高い財源配分とするとともに、財政状況の改善に取り組んでいかなくてはならないと考えております。

以上、令和6年度予算に係る主要な事業、施策について、「市政戦略編」「分野別計画編」「自治体経営編」の順に、その概要のご説明を申し上げました。

<令和6年度予算規模>

令和6年度の予算規模といたしましては、一般会計は対前年度当初比3.4%増の624億4,000万円、一般会計、特別会計及び企業会計を合わせた全会計の総額は、対前年度当初比2.3%増の1,306億3,411万円余となりました。

歳入では、個人所得は増加傾向にあるものの、社会保険料控除や、ふるさと納税をはじめとする各種寄附金制度の定着に伴う寄附金控除の拡大による個人市民税の減収を見込んだことや、地方特例交付金で補填されるものの総合経済対策に伴う定額減税措置による個人市民税の減収を7億円余見込んだことなどにより、市税収入は対前年度比では10億円を超える減収としています。

一方の歳出では、人件費、福祉事業等に係る扶助費の増加が著しく、委託料などの物件費も、最近の燃料価格や物価高騰に加えて人件費の上昇により増加しており、非常に厳しい予算編成となりました。

そのような状況ではありますが、各分野間のバランスに十分に留意しながら、市民の安全・安心と、さらに教育や子育て等の重要施策については、これまでの取組を決して後退させることなく、着実に前に進められるよう積極的かつ優先的に予算化するよう努めたところであります。

令和6年度は、厳しさを増す財政状況や社会経済情勢を踏まえ、これまで以上に創意工夫を凝らしながら、都市ヴィジョン『こども夢・チャレンジNo.1都市』『健康・支え合い循環都市』『魅力・活力創造都市』の実現、ひいては「小牧市民憲章」に掲げる理想のまちの実現に向けて、一層邁進してまいります。

結びに

以上の方針により、私は小牧市長として、小牧市の将来を見据え、こどもが健やかに夢を育み、高齢者をはじめ誰もが安心して暮らせる小牧市、若い世代や子育て世代が住みたい、子や孫も住み続けたいと思う、魅力と活力あふれる夢ある小牧を創造してまいります。

そして、本市は令和7年に市制施行70周年を迎えます。

この節目の年を小牧市への愛着と誇りを醸成する機会とするとともに、こまきに関わるすべての人がつながり、20年先、50年先の未来に持続する小牧市の創造に向けて、ともに更なる挑戦の一歩を踏み出すため、記念事業を実施する準備に着手してまいります。

議員各位、並びに市民の皆様と力を合わせて、小牧市の明るい未来につながる更なるチャレンジと、15万市民の幸せのための市政運営に、決意と信念を持って、引き続き全力で取り組んでまいる所存であります。

小牧市政の推進に、皆様の格別のご理解とご支援をお願い申し上げ、私の施政方針といたします。

この記事に関するお問い合わせ先

市長公室 広報広聴課 情報メディア係
小牧市役所 本庁舎4階
電話番号:0568-76-1107 ファクス番号:0568-75-5714

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