管理栄養士が女性の健康を応援!
更新日:2024年08月06日
自身の望ましい体格を知りましょう
BMI(Body Mass Index)は身長と体重から算出される、18歳以上の大人に当てはまる世界共通の体格指数です。
基準値は22とされています。
あなたの体格を確認してみましょう。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
思春期から若い女性のやせが問題になっています
世界的には肥満が問題視されていますが、日本では若い世代のやせが問題視されています。若い世代ではメディアの影響もあり、やせていることが美の基準となり、過度の「やせ願望」や「ダイエット志向」を持つ方がいます。
客観的にみればやせる必要がないのに、「自分は太っている」と誤った認識をするなどから過度なダイエットを繰り返し、「やせたね」などを言われることを褒められていると感じ、よりエスカレートした食行動異常への悪循環がみられることがあります。これは摂食障害という病気の場合もあります。過度にやせることは成功体験ではありません。
思春期(9~19歳)の方へ
思春期は将来の健康の土台を作る時期です。
日本人女性は10~14歳で急速に身長が伸びますが、栄養が不足すると遺伝的に決まっている最終身長まで背が伸びなくなります。
体脂肪から出るレプチンというホルモンが月経を起こしているので、体脂肪が少ないと初潮が遅れたり、月経不順になったりします。
14~15歳ごろ全身の骨カルシウム量がピークになり、カルシウムを蓄える倉庫の大きさが決まります。そして女性ホルモンのエストロゲンが骨カルシウムが溶け出すのを適切に調節します。
女性ホルモンは女性らしい体形や皮膚・頭髪を維持して、情緒や脳機能にも影響します。
健康に過ごすために、過度のダイエットは避け、主食・主菜・副菜を中心としたバランスのい食事をとるようにしましょう。
若い世代の方へ
20歳代では5人に1人がやせすぎといわれており、月経不順や将来の骨粗しょう症、不妊、低体重児の出生、生まれてくる子どもの将来の生活習慣病のリスクの上昇など、今現在の不調はなくても将来的に問題になることがあります。もともとの体質で太れない方もいますが、過度なやせ志向は体に負担になることを知ってください。
実際にやせの女性の食事摂取カロリーは第二次世界大戦直後を下回ってるとの調査結果もあり、かなり無理なダイエットをしていることが考えられます。過激なダイエットによるやせすぎは「美」ではなく、「不調」の表れです。
脂肪細胞から分泌されるレプチンは女性ホルモンを作り、月経周期を維持します。レプチンには食欲を抑制する働きもあり、一定の脂肪細胞があることは月経を維持し、同時に余計なむちゃぐいを押さえているのです。過度の減量は過食を引き起こします。健康な人の半飢餓臨床実験では6か月で25%の減量した被験者は、その後全員が過食を経験しています。
女性は体脂肪が12.5%を下回ると女性ホルモンが低下し、80%が無月経になります。
減量を望む場合は主食・主菜・副菜をそろえたバランスのいい食事をとり、しっかり運動をして筋肉量を減らさないことが大切です。
妊娠を希望される方へ
あなたの月経は順調ですか?
月経開始日から次の月経の前日までの日数を月経周期と呼び、正常な月経周期は25~38日とされます。
24日以下で月経が起こる場合を頻発月経と呼び、ホルモンの乱れが原因になることが多いようです。
39日以上間が空く場合は希発月経と呼び、卵巣機能が不十分であることが多いようです。
また過度の低体重(低体脂肪)の場合は月経が停止することがあります。
極端なやせは不妊や将来の骨粗しょう症など母体の問題だけでなく、低体重児出生、低体重で生まれた子どもの将来的な生活習慣病のリスクをあげるとも言われています。
月経は様々なホルモンの働きによって調整されますが、病気が隠れていることもあります。不安のある方は婦人科に相談しましょう。
妊娠前、妊娠初期は十分な葉酸の摂取を推奨されています。国が定める日本人の食事摂取基準でも、食事性だけでなく、サプリメントでの葉酸摂取を推奨しています。
これは葉酸には妊婦の貧血予防や妊娠性高血圧症の予防だけでなく胎児の神経管閉鎖障害の予防や胎児の発育を助ける働きなどがあるからです。神経管の閉鎖は受精後4週間頃から。まだ月経が遅れて妊娠に気づく前くらいの時期になります。妊娠を希望する方は、健康的な食生活とともに、妊娠前からしっかり葉酸をとりましょう。
妊娠されている方へ
2015年の調査では10人に1人が出生体重が2500g未満の低体重出生児であるといわれています。出生体重の平均はここ40年で200gほど減少しており、これは先進国では日本だけといえます。
国は平成18年「妊産婦のための食生活指針」を作成、令和3年改訂を行いました。
その中で妊娠中の体重増加は、妊娠前の体格(BMI)を用いて定められています。極端なやせは出産後母体だけでなく、あかちゃんの将来にも影響を及ぼします。まずは自身の体格を知り、極端な減量によるやせがある場合は是正するよう努めましょう。そして自身の体格に合った適切な体重増加を、めざしましょう。
妊娠前の体格はBMI(Body Mass Index)と呼ばれる体格指数で判断します。
体重と身長から算出され肥満度を表します。
BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m) (18歳以上)
BMIは22の時、一番病気になりにくく、理想的と言われています。

役に立つリンク集(外部リンクが開きます)
妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針リーフレット(国立健康・栄養研究所サイト内です)
ヘルスケアラボ(厚生労働省科学研修費補助金を受けた研究班が運営しているサイトです)
高齢期のやせにも注意しましょう
若い女性だけでなく、高齢者もやせには注意が必要です。
「フレイル」という言葉を聞いたことはありますか。健康と要介護の間(虚弱)を指します。筋力が衰え、動くのがおっくうになる。動かないから食欲がわかない。食欲が落ちているから食べられない。ますます筋力が弱る…。結果的に要介護状態へと進んでしまいます。負のスパイラルに陥らないよう気をつけましょう。
フレイルは、生活習慣や食生活の工夫で健康な状態へ戻すことができます。
意図しない体重減少がある方は要注意です。保健センターではフレイル予防の講座や訪問栄養相談を行っています。
気になる方はお電話ください。
- この記事に関するお問い合わせ先
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健康生きがい支え合い推進部 保健センター
電話番号:0568-75-6471 ファクス番号:0568-75-8545