防災食を作ってみましょう
更新日:2024年06月12日
★災害時の食事の準備の困りごと
1.ガス、電気などが使えず、火元がない。鍋、釜がない。
2.水道が止まって、水が自由に使えない。→調理だけでなく、洗い物もできない。
3.食材が調達できない。
4.自宅のいることができず、避難所生活→配給や炊き出しが開始されるまでタイムラグがある
★災害時の調理にあると便利。こんなものを備蓄しましょう
カセットコンロと予備のガスボンベ、固形燃料など
ポリ袋(高密度ポリエチレン、半透明のシャカシャカしたタイプ)
ラップ(大・小)
紙皿や紙コップ
マッチやライター、火元になるもの
新聞紙
★備蓄食材
水 飲用・調理用として1人1日3リットル(直接口を付けても衛生的に保管できるように500mlなど小分けタイプのペットボトルのものがあると便利)
→汲み置きの水道水は常温で2~3日、冷蔵庫で1週間程度もちます。清潔な容器になるべく空気に触れないようにぎりぎりまで入れ、ふたをして日の当たらないところへ置きましょう。また保管場所を分散させることも有効です。
アルファ米や無洗米、レトルトご飯
切り餅や長期保存パン、乾麺、インスタント麺などの主食になるもの
ツナや鯖缶、コーンビーフ、大豆缶、鮭フレークなど保存のきくたんぱく質のとれるもの
おかず(レトルトカレーやインスタント味噌汁、カップ麺など)
羊羹やあめ、フルーツ缶など高カロリーな糖質
これらはローリングストックを活用するとよいでしょう。
★発災初期に手に入りにくいもの
野菜、たんぱく質
パッククッキング
しっかり空気を抜いて、上のほうで縛るのがコツ。空気が入ると浮いてしまい加熱ムラの原因になります。またお湯が多いと吹きこぼれるため、やけどに注意しましょう。
なべ底には耐熱性の皿やざるなどを沈め、なべ底に直接ポリ袋が触れないようにして加熱しましょう。
平時に一度作っておくといざという時慌てずにすみます。
洗い物も少なくすみ、1人分ごとに作れるのでアレルギーなどの個別対応も可能、なおかつ普通に調理する場合と遜色なく出来上がります。
調理の際は高密度ポリエチレン、または加熱調理使用可と記載のあるポリ袋を使用してくださいね。

高密度ポリエチレンと記載のあるものを使用します。あまり小さすぎたり大きすぎると使いにくいので、一般的なサイズを用意します。

大きめの鍋に湯を沸かし、耐熱皿を沈め、茹でます。小分けしているので、数種類のおかずやごはんも一度に調理できます。

しっかり空気を抜き、上のほうで縛ります。一人前ごとに小分けして加熱すると加熱ムラが少なくおいしく出来上がります。
ごはんを炊く
1人前ずつお米を炊きます。乳酸菌飲料の容器1杯がおおむね0.5合となり茶碗一杯分のごはんが出来上がります。
普通に水加減して茹でることで出来上がりますが、一袋で大量に作るとムラができ、芯が残ります。また湯に浸らない場所がないように、しっかり空気を抜くこと、広がるスペースを確保するため、上のほうで縛ることがコツです。
【ごはん】米 1合 水 200cc
【軟飯】 米 1/2合 水 200cc
【おかゆ】米 大さじ3 水 200cc

どんぶりなどで受けてポリ袋を広げて、米と水を注ぎます。無洗米などがあれば便利ですが、普通の米を研がずにそのまま炊いてもぬか臭くありません。

しっかり空気を抜き、膨らむ余地を残して縛ります。

20分茹で、5分ほど蒸らしが終わったらほぐして 茶碗に盛り付けました。災害時は袋のままで食べれば洗い物もありません。

軟飯。やわらかめのごはんです。離乳食後期以降やかむのが難しい方でも口腔内でもまとめやすいです。

さらに柔らかなおかゆもできます。加える水の量が多くなりすぎると加熱に時間がかかるので、お米の量を減らしてつくります。
たまごスープごはん
【用意するもの】
フリーズドライスープのもと 1個
米 1/2合
水 160cc

水の量はスープの袋に記載の分量で作りました。
20~30分の加熱後、湯煎したまま少し蒸らすと芯がなくふっくらできあがり、保温もされます。

スープかけごはん状になるかと思いましたが、スープを戻す分量と炊飯に使う水分で、混ぜご飯状に炊き上がりました。いろいろな味のスープでアレンジすることで、おかずがないときにも飽きずにおいしく食べることができると思いました。薄味に出来上がるので、好みで味付けを足してもよいでしょう。水分を増やせばおじやにもなりそうです。
中華おこわ
中華ちまきの簡易版が簡単に作れます。竹の皮に包まれたタイプのちまきは干しエビやタケノコ、豚の角煮、うずら卵などが大きめの具が入り、八角などの香辛料が香りますね。調味料もオイスターソースや紹興酒など複雑です。
干しシイタケの戻し汁としょうゆ、少々の砂糖で十分おいしい炊き込みごはん風おこわが出来上がります。
残ったもち米は浸水せず炊飯器で簡単にお赤飯やおこわを炊くこともできます。また、肉団子の表面につけてフライパンで蒸し焼きにすれば、おいしい点心(肉団子のもち米蒸し)が出来上がります。ご家庭で常備されてみてはいかがですか?
【用意するもの】
もち米 1合 干ししいたけ(水戻し) 1枚 豚薄切り肉 1枚(25g) にんじん 少々 砂糖 少々 しょうゆ 大さじ1 しいたけの戻し汁と水をあわせて180cc

干しシイタケは事前に戻しておき、戻し汁も使って炊飯します。肉はさっとしょうゆで和えて、生のままで加えて作ります。すべてを袋に入れて軽く混ぜます。

袋の空気を抜き、上のほうで縛ります。もち米は浸水などをしなくても、おいしく手軽におこわが出来上がります。

蒸し器がなくても冷めてももちもちした、試食した全員がおいしいと答えたおこわが出来上がりました。ゴボウやほかのきのこなどを入れてもおいしそうです。具を増やせば、ごちそうごはんにもなりますよ。
おかずを作る
さつまいものオレンジ煮
【用意するもの】
さつまいも 小1本(80g) スティックシュガー 1本 オレンジジュース 50cc

さつまいもを5ミリ厚に切り、袋に入れる。オレンジジュース、スティックシュガーを加えよく混ぜる。
いもを重ならないように広げて並べ、空気を抜いて袋の口を縛り、20分ほど加熱する。

オレンジジュースのさわやかな酸味でおやつにも箸休めにもデザートにもよさそうです。今回は少し加熱ムラがありました。時間を長くするか、重ならないよう工夫するとよいでしょう。
大豆サラダ

お湯と食材を一緒にパックすることで茹でることができます。そのまま和えることで、ボウルなどの洗い物も減らすことができます。水煮大豆30gとにんじん10g、水大さじ1を袋に入れ、口を縛って加熱。柔らかくなったら取り出し、袋の水を捨てます。その後冷めたらきゅうり15g、マヨネーズ小さじ1を加えて和えたら出来上がり。お好みでツナやかにかま、コーン、ごまなどを加えてもおいしいですよ。
うま煮
【用意するもの】
白菜 1枚程度(80g) 豚薄切り肉 1枚 砂糖小さじ1 しょうゆ小さじ1 顆粒だしの素 少々

ざく切りの白菜と豚薄切り肉を袋に入れます。

調味料を加え、全体をもみ混ぜます。なじんだら空気を抜いて口を縛り加熱します。

鍋で作る場合と変わらず、柔らかに加熱されています。肉は重ならないようはがして加えるのがポイントです。水を加えないので、少しの調味料でもきちんと味がついています。
塩昆布和え
【用意するもの】
白菜(キャベツやキュウリでもよい) 1枚~2枚(120g)
塩昆布 2つまみ(5g) かつお節小袋 1袋(2.5g)

白菜やキャベツ、キュウリなど生食できる野菜を手軽に塩昆布で浅漬けにします。塩漬けに比べ、袋の上からもむことで、しんなりするまでの時間が短縮されます。

材料すべてを袋に入れ、全体にしんなりするまで揉みこみます。

調味料なしであっという間に出来上がり。白菜のシャキシャキ感が残る、塩昆布の塩気とうまみであっさりおいしい浅漬け風の和え物です。あと一品ほしいときに。
親子煮
焼き鳥の缶詰を利用した親子煮です。残った焼き鳥や冷凍の焼き鳥を使用してもよいでしょう。今回は砂糖、しょうゆなどを少し加えましたが、ごはんの進むしっかり味でした。薄味が好きな方は調味料なしでもよいでしょう。
【用意するもの】
市販の焼き鳥缶詰 1缶 顆粒だしの素 少々 しょうゆ 小さじ1 砂糖 小さじ1/2 水 100cc

卵2個、焼き鳥缶(小)1缶、顆粒だしのもと少々、しょうゆ小さじ1、砂糖小さじ1/2、水100ccをポリ袋に入れ、よく混ぜます。

固さを見ながら加熱します。今回は15分ほど加熱。水を混ぜることでふんわり仕上がりました。同時に炊飯もすませば、親子丼にもできます。
サラダチキン風蒸し鶏
好みのミックススパイスソルトを使ったサラダチキン風の蒸し鶏が簡単に作れます、薄切りにしてサラダに加えるだけでなく、手で裂いてきゅうりとごまドレッシングでバンバンジー風、ラーメンや冷やし中華のハムや焼き豚替わりなど使い勝手がいいので、少し多めに作って保存してもよいでしょう。
ミックススパイスソルトがなければ塩小さじ1、黒コショウ適宜、砂糖小さじ1/2でも作れます。黒コショウはカレー粉、ニンニクやしょうが、おろしたまねぎなど好みの香味野菜などにしてもおいしく作れます。
【用意するもの】
鶏むね肉 1枚 ミックススパイスソルト 小さじ2 砂糖 小さじ1/2
災害時など洗い物ができない時は、洗って乾かしておいた牛乳パックや紙皿の上、もしくは食品用ラップなどをしいてから肉の処理をするとよいでしょう。カットする場合は切れ端の混入に注意しましょう。

鶏むね肉1枚に対し好みのスパイスソルト小さじ2、砂糖小さじ1/2程度
*スパイスソルトは種類により塩分が違うので加減してください。
鶏むね肉は観音開きにして、厚さを2cm程度になるべく均等にします。表面に好みのスパイスソルト、砂糖を刷り込みます。30分ほど冷蔵庫で置いてから加熱すると味が良くしみます。

今まで同様空気を抜き、上のほうで縛って加熱してください。10分ほど加熱したら、鍋にふたをして冷めるまで放置しましょう。じっくり加熱することでパサつきを押さえることができます。半生では食中毒の危険がありますので、切った時中が生っぽいときはレンジで加熱し、中心までしっかり加熱しましょう。

アツアツでもおいしいですが、冷めてもしっとり。スープは冷やすとゼラチン状に固まります。作り置きして、食べやすく切ったり、裂いたりしていろいろなお料理にプラスして。真空パックではないので2~3日で食べきってくださいね。
蒸しパンいろいろ
ホットケーキミックスを使って、手軽に蒸しパンを作ってみませんか?少量ずつ作るので、好みで味付けの変更も可能です。今回の具材は包丁がない場合を想定し、手でちぎったり揉みこめるものを使用しました。

プレーンタイプは食事パン代わりに。ホットケーキとして食べる場合に比べ、甘みを感じにくいようです。少量のサラダ油やバターを加えてもおいしくできました。

20分ほど茹でると、出来上がります。お湯から出したら結び目をほどいておくとべたついたりつぶれたりせず、ふんわり仕上がります。

ジャムやフルーツ、チョコレート、紅茶葉などのスイーツ系だけでなく、コーンやウインナー、チーズなどを入れた総菜パン風にも。入れる量や組み合わせはお好みでどうぞ。
りんごのコンポート

色々な切り方を試してみました。カットしたリンゴにスティックシュガーを少量ふりかけ、空気を抜いて口を結びます。

切り方に関わらず、変色せず柔らかく美味しく出来上がりました。砂糖を抜いて離乳食や、固いものが苦手な方もおいしく食べられそうです。
ぜんざい
茹であずき缶を使用して、即席ぜんざいを作りました。少量ずつ食べきりサイズで作れるので、残ったあずき缶は冷凍したり、小倉トーストなどにして楽しみましょう。

もちはそのままより、カットラインで割ったほうが早く柔らかくなるようです。少量の水をふりかけるとより滑らかになります。
甘いのが苦手な方は磯辺もちなどで楽しんでもよいでしょう。

4等分に割ったもちに茹であずき缶を大さじ3ほど加え、同量の水を加えます。ぜんざいの濃さはお好みで。軽く混ぜ、20分ほど茹でると、美味しいぜんざいになりました。
試食の感想
試食してもらい、感想を聞きました。
普通に作った場合と遜色ない、との声が多くあり、物によっては普段めんどくさそう、大量にできて困るなどの理由で敬遠していたが、ひとり分ずつ簡単にできることがわかり、とりいれてみようと思う、という前向きな意見もありました。
ふたをしたり、途中で袋をひっくり返したりすると加熱ムラはある程度防ぐことができそうです。
例えばカレーや肉じゃがなど、いつもの料理もパッククッキングで作ることができます。ぜひお試しください。
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お水でクッキング
じつはインスタント麺は普通に作る場合に比べ少し時間はかかりますが、常温の水で作ることができます。
カップ入りラーメン、カップ入りうどん、袋めんを食べ比べてみました。
お湯が入手できなくても食べることができます。賞味期限も半年ほどと長いので、備蓄しておくとよいでしょう。
カップ入りラーメン
湯で作る場合に比べ味を濃く感じたため、水の量は好みで加減してもよいでしょう。また油脂が多少固まるため、液体スープタイプなど油脂の多いタイプはうまくまざらないかもしれません。容器入りで水の量もわかりやすい、具が多いなど、満足感があり、手軽に出来上がった印象です。

表示通りの量の常温水を注ぎ、20分以上放置する。ふたはしてもしなくても変わらない。

麺がふやけ、好みの固さになったらできあがり。室温、水温により時間は加減してください。

少し油脂が固まる。湯で作る場合に比べ、味が濃く感じる。
カップ入りうどん
ラーメンタイプに比べ麺は太いが、30分ほどで十分食べられる固さに戻ります。作り方は普段通りで、かやく、粉末スープ、水を加えて放置します。ラーメンと同じ20分ではまだ少し芯がありましたが、そのままさらに時間を置くと、具材も麺もおいしく食べられる状態になりました。

粉末スープ、かやく、規定量の水を注ぎ、25分ほど放置する。

大きな具材は水につからない場合もあるので、時々混ぜるとよい。

麺が太いが、しっかり戻っている。
袋入りラーメン
袋めんは、上記の2種に比べ、まず器が必要となり、また水の量も定量は量らないとわかりません。今回は災害時を想定し、ポリ袋とペットボトルの水で目安量で作りました。袋を支える方法など、少し工夫が必要です。

どんぶりなどに袋をかけると作りやすいか。水の量がわかりにくく、また面全体を水につけるのが難しい。

カップ入りに比べ、戻すのに時間がかかる。途中で裏返したり、少しずつほぐし、全体が均一に戻るよう気を付けた。

時間はかかるが美味しく食べられる。ただし具材はない、もしくは少ないものが多いので食事としての満足感では劣る。
備蓄する際、カップタイプに対して場所をとりにくいのがメリット。
試食の感想
試食してもらい、感想を聞きました。
・普通においしい。味を濃く感じる。寒くなければ食べられる。
・試食の量は十分おいしく食べられたが、一食となるとどうか。
・なじみのある味。災害時でも安心できそう。
いざという時に取り入れることは問題なくできそうです。夏場に火を使わない料理として試してみてもいいでしょう。主菜、副菜を追加すれば栄養バランスも整います。
非常時もカットわかめや乾燥野菜などを加えると、より美味しく食べられるのではないかと思います。
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