第2回自治基本条例のあり方研究会議が開催されました

更新日:2017年08月31日

自治基本条例の制定に向けた研究報告(第2回)

日時

平成24年8月4日(土曜日)午前10時00分~正午0時

場所

市役所本庁舎4階 402会議室

会議の内容

1.講義「いまなぜ、地域協議会か、自治基本条例か」

講師:四日市大学総合政策学部 岩崎恭典教授

「自治基本条例がなぜ必要か」、「区があるのに、なぜ地域協議会が必要か」をテーマに、以下のような講義がありました。

熱心に講義していただいた岩崎教授の写真

四日市大学総合政策学部 岩崎恭典教授

講義の内容(要約)

1)人口減少と高齢社会を迎えて

  • 国勢調査をベースに考えると、2005年の調査時点で、日本の人口がピークに達しました。2010年の調査結果では、そこから0.3%減少しています(外国籍、国籍不明者を除く)。このことは、私たちがこれから迎える、人口減少社会の入り口に立っていることを示しています。2050年の予測人口は9000万人、これは1950年と同じ人口です。1億人規模の人口を持つ国のうち、100年間でこれほどの大変動を経験する国は、日本がはじめてです。
  • 加えて、高齢化の問題があります。65歳以上人口は、2005年には21%でした。2050年には35%を超えると予想されています。現役世代が増えない中で、高齢者だけ増えていくモデルです。
  • 小牧市では、人口が微増しています。しかし、国全体と比較するとやや進行が遅いだけで、確実に人口減少、高齢社会を迎えます。
  • 2050年は、今の20歳前後の若者が、60歳を迎えるころです。この世代は生まれてから「失われた20年」を生きてきた世代であり、「自分たちはいったいどのような社会で暮らしていくのか」という不安を抱えています。こうした若者たちのためにも、社会のしくみ、あり方を、人口減少社会に対応するものにしておくことは、私たち現役世代の役割ではないでしょうか。
  • また、今年(2012年)、団塊の世代が65歳を迎え、統計上の「高齢者」の仲間入りをします。今はまだ、お元気な方が多いですが、10年後の2022年には75歳、つまり後期高齢者となります。その時、地域の介護の仕組みは大丈夫でしょうか?大量の介護難民がでるかもしれません。だから、これからの10年間で、地域で支え合う仕組みをつくっておかなくてはいけません。

2)「あれか、これか」の《決め方》を決める

  • 1969年に設置された千葉県松戸市の「すぐやる課」に象徴されるように、働く世代が増え、税収も確実に増えていく時代には、市役所は「あれもこれも」引き受けることができました。しかし、現役世代人口は1995年にピークを迎え、以降は減少をつづけています。つまり、私たちが働くことによって収める税金の額も、95年から下がり続けているのです。
  • これからの時代、市役所は「あれもこれも」引き受けることはできないと、きちんと宣言しなくてはいけません。これからは「あれか、これか」です。が、「あれか、これか」を決めるのは、難しい。ある仕事について、これからも市役所が担うのか、それとも住民にお返しをするのか、それは時代の状況によって変わってきます。従って、「あれか、これか」の<決め方>を決めておく必要があるのです。
  • 特に公務員に維持してもらわなくてはならないのは、セーフティネットです。つまり、みなさんがこれから考える自治基本条例は、「小牧のセーフティネットは何か?どのように維持していくのか?」ということの、決め方を決めるのがひとつの目的であると、私は考えています。
  • これからは、人口増加、税収増加の時代とは違った、市役所の役割、市民の役割があるはずです。そうした中で、これからの小牧市のあり方を決めるのが自治基本条例です。

3)自治基本条例で決めること

  • 市民の役割と責務
  • 市役所の役割と責務
  • 議会の役割と責務
  • 市役所が担う仕事の決め方
  • 現在ある市民参加の仕組みの一覧表
  • 協働のあり方
  • 自治基本条例では、市民、市役所、議会それぞれの役割と責務を定め、市役所が担うべき仕事の決め方を決めます。市民については、団体、企業、外国籍の方々などを、どのように位置づけるかの議論が必要になるでしょう。
  • また、市役所の事業について、計画段階での市民参加の仕組みや、評価の段階での市民参加の仕組みがあります。こうした参加の仕組みを、いちいち個別条例にあたらずにすむよう、一覧表を作成します。そして、事業の実施段階における参加のしくみが「協働」です。協働のあり方も考えていかねばなりません。

4)市民にできること

  • いま市役所が引き受けている仕事について、次のようにわけて考えることができます。
狭域有効

狭い地域でなければ有効ではない仕事(介護保険事業など)

広域効率

広い地域でなければ効率的ではない仕事(保健制度など)

  • 狭域有効の仕事(公園管理、子育て、介護等)は、かつては地域で担ってきた仕事です。したがって、今後は協働したり、あらためて市民が担うことのできるものです。
  • さらに、こうした仕事は、これからの時代では、例えば移送サービスのように、小金を稼ぐことができ、大きな生きがいを得ることもできます。団塊世代がこの仕事を担い、将来的には若い人の雇用を生むところまで仕組みをつくっていただくことを期待しています。

5)自治会と地域協議会

  • 狭域有効の仕事を市民が担うことで、地域で雇用を発生させ、次世代にその雇用を引き継ぐ。その拠点となるのが地域協議会です。こう考えると、おのずから自治会との違いは明らかになります。すなわち、ビジネスをするかどうか、という点です。
  • これまで自治会は無償で動いてきました。だから、市役所もずっと仕事をお願いしてきました。そのため自治会の仕事はどんどん増え、また無償だからと皆と負担を分け合おうと1年交替が多くなり、そうした中で役員のなり手がいなくなるなど、衰退してしまいました。
  • これからは、地域の課題に取り組み、かつビジネスとなる仕事は地域協議会や、構成員であるNPO等が担います。ただし、それらは、自治会の仕事をきっかけとしてつくっていくものです。一方で、防犯、防災など、無償でしかできない仕事は、これからも自治会が担っていくことになるでしょう。
  • 地域協議会が立ち上がっていくまでは大変かもしれませんが、その立ちあがりを支える役割を果たすことができれば、長期的に見て自治会の仕事は楽になると思います。

6)終わりに

  • 配布資料に、いくつか自治基本条例、地域協議会の事例を掲載しました。しかし、あくまでこれは他都市の事例です。小牧には小牧流の自治基本条例があるはずです。そこは、地域の実情にあわせてぜひ自由に議論をしてください。ただし、背景に人口減少と高齢化が進む社会である状況があり、それに向けて社会の仕組みを変えていかなければならない。これだけは忘れないようにしておいてください。
岩崎教授の熱い講義に熱心に耳を傾けている様子の写真

岩崎教授の熱い講義に、皆さん熱心に耳を傾けていました

2.質疑応答

Q1.行政が担うべきセーフティネットについて、もう少し具体的なイメージを教えてください。

難しい質問です。例えば、3年ほど前に、「年越し派遣村」というのが話題になりました。私たちは税金を払うことで、最終的なセーフティネットとして生活保護を受けられるということを、自明のことだと思っていました。しかし、リーマンショックで職を失った派遣労働者(派遣会社のアパートに住んでいました)には住所を持たず、ネットカフェや路上で生活をする人達が増えました。本来ならば、生活保護の対象となるはずなのに、申請要件に、定まった住所地が必要という項目があるために受けられなかったのです。セーフティネットを維持するならば、労働のあり方の変化に応じて、住所地の要件を緩和し、生活保護を申請できるようにするのが市役所職員の役割です。ところが、日本に約1800の基礎自治体がある中で、ネットカフェを住所地として認めたのは、埼玉県の蕨市だけでした。

 「あれもこれも」何でも市役所でやっていたため、セーフティネットに大きな穴があいているのに気づかず、雇用が切れた人を助けられない状態になっていた。だから「年越し派遣村」が必要だったのです。

 セーフティネットとしては、生活保護の仕組みをこれからも維持し続けること、介護保険の保険制度を(どれだけお年寄りが増えても)維持し続けること、現役世代であれば、年金がきちんと支給されることなどが挙げられます。これらをきちんと維持し続けるためには、国や市役所が、地域の仕事をぜんぶ引き受けるという現状は、見直される必要があるのではないでしょうか。

具体的な事例は、なかなか難しいですが、基本的には社会保障と年金ということになります。

Q2.住民がしてきた仕事を、住民に返すことについて、具体的に教えてください。これまで、しっかり働いて税金を納めてきましたが、なぜ一千兆円を超える借金ができたのでしょうか。これについては国も無関心です。

1995年以降、現役世代の減少に伴い、税収も減少しています。その一方で、もう一度景気を浮上させるため、地方単独事業による公共事業を多く実施しました。地方単独事業は、事業実施のための借金を、将来の市民にも負担をもとめるという形で行います。そうして、公共事業を多く実施すれば、もう一度税収が上がるだろうと見込んでいたのですが、そうはならずに借金だけが増えた結果となりました。

こうした状況をすぐ解決することはできません。しかし、地域社会でこれから暮らす人、年を取っていく人はいるわけです。その人たちの安心安全を、一人か二人の雇用を発生させることで、守っていくことが絶対に必要です。ただちに借金はなくならないにしても、国としての存続は、それではかることができるのではないかと思います。

Q3.市民が担う仕事から、雇用を創出するための原資はどうするのですか。

これまで多くの自治体にかかわった経験からいうと、今の時点でも、お金は地域に流れてきています。これまでの人口増・税収増の時代というのは、市役所の各課が、自分の課の仕事をお願いするための組織を、地域の中につくってきた歴史です。たとえば福祉の担当課は、老人クラブの設立補助を出す、子どもの担当は、子ども会に補助を出す、教育委員会はPTAに補助を出す、危機管理の担当は防犯・防災組織に補助を出す、という具合です。地域にはこのように、各課の縦割りで結構いろんな予算が流れてきています。

以前、大阪市で地域協議会を検討する仕事に取り組んでいましたが、そのときに地域にでている各課のお金を計算したところ、27億円になることがわかりました。その27億円があれば、この地域は子どもが多いから子どものために使おうとか、あの地域は高齢化が急速に進んでいるから地域で支え合う仕組みを作ろうとか、いろいろな取り組みができます。地域に流れてくるお金を、自分たちで使い道を決めて、使いやすいお金にしていけばよいのではないでしょうか。

伊賀市では、今年から地域協議会が、市からの補助金を積立てることができるようになりました。画期的なことです。地域協議会ができてから7年でようやく、そこまでいくことができました。

そうした縦割りの補助金を、統合して使いやすくすれば、原資はあると思います。

Q4.住民の多くに、受益は求めるけど負担は避けたいという考え方が広がっています。また、できる人に任せるという無関心がひろがっている中で、自主自立を前提とする取り組みが実現できるのでしょうか。

本当にしんどい話だと思います。けれども、私たちは、人口減少・高齢化の時代にいます。これまでとは違う市民の責務が、求められるのではないでしょうか。これからみなさんは、自治基本条例のあり方を検討します。そのなかには、当然受益をもとめて負担を避けるという考え方の人がいて当たり前です。それでも、そういう人たちが、ちょっと身近なことに取り組めば、大きな力になると思っています。 

例えば、みなさんの家では、花を飾るときに、座敷から見えるように置いていますよね。その植木鉢を、道路の側に向ける。そのくらいからはじめればいいと思います。

道路から花が見えると、ご近所の人も、「きれいな花ですね」と言って、会話も増えていくでしょう。花が見える道路が汚れていると、ではきれいにしようかという話もでてくるでしょう。そういう「小さな公」(とわたしは呼んでいます)を取り戻すことは、とても簡単な気がします。

また、負担というのは金銭的な負担とは限りません。お金を出すのは惜しくても、少し道路を掃除するとか、そんな行為がいろいろなことにつながっていきます。

例えば、最近は子どもをターゲットにした犯罪があります。だから、子どもの登下校を見守ろうという動きはよくあります。それを特定の人、できる人にまかせてしまったら、たいへんです。なら、道路を清掃する時間を、子どもの登下校にあわせればいい。お母さんの買い物の時間を、子どもの登下校にあわせればいい。おじいちゃんは散歩の時間を、子どもの登下校にあわせればいい。

みんなが少しずつできることをすることで、負担もかからずに、子どもの登下校の見守りと言うのはできるようになるのです。

いま挙げた話は、私が考えたことではありません。各地の事例を聞いていると、「なるほど、こういう方法があるのか」と思うことがたくさんあります。そういう知恵を、みんなで出し合うのが、地域の協議会の第一歩ではないかと思います。

Q5.小牧はスタートしたばかりですが、全国的にみて、他の自治体の進行状況はどうなっているのでしょうか。

先にも申し上げましたが、大阪市は去年まで一生懸命やっていました。それから私がこうした取り組みにかかわり始めたのは、三重県の伊賀、千葉県の我孫子などからです。

実は先週、ひさしぶりに我孫子市に伺って、当時の企画課の補佐だった方(いまでは担当部長ですが)に会ってきました。スタートから10年以上たって、もう一度基本的な考え方を整理したいということでした。どの地域でも試行錯誤ですが、始めたところはいろいろ工夫をして取り組んでいます。

全国的に、こうした取り組みがはじまっているのは、人口が減っているという問題意識が認識され始めたからだと考えています。(全国の例は)インターネットなどでたくさん調べることができます。しかし、それにこだわる必要はまったくありません。小牧の地域性は他とは全然違うので、小牧には小牧のルールをつくってください。

Q6.自治基本条例は、地域協議会を定めるためのものでしょうか。

地域協議会について定めることは、あくまでも一つのパーツにすぎないと思っています。講義のなかで、自治基本条例に盛り込むことを解説しましたが、これから人口減少・高齢化がすすむ小牧市のための、小牧市民のための、小牧市役所のための、あるいは議会のための条例であればよいと思っています。

狭域有効・広域効率の考え方でいけば、比較的市民が担いやすいのは狭域有効の仕事で、地域協議会が主体となる部分でもあります。条例のなかでは、地域協議会に一章をあてる位で、よいのではないでしょうか。

Q7.自治会と、地域協議会やNPO、企業との違いについて詳しく解説してください。

地域協議会では、地域に関係のある団体はぜんぶ集まって、議論をする必要があると思います。

企業も、地域に関心を持っています。地域のアンテナを高くすることが商売につながるからです。地域の中で企業のイメージが悪ければ、当然商品が売れるわけがないので、地域社会の関係というのはとても気にしています。企業も地域の住民で、従業員のみなさんも地域の住民なんです。その地域の住民のひとりとして、地域協議会にはぜひ参加して欲しいと思います。地域の課題を一緒に解決しましょうという問いかけを、たぶん企業も待っていると思います。

自治会は世帯が構成員です。地域協議会は、個人、団体、NPO、企業も包括して、個人と団体が組織します。ですから、最初に地域協議会を立ち上げる、その発端をつくるのは自治会の大きな役割です。けれど、地域協議会が、いろんな課題に取り組むようになったら、企業にできること、団体にできること、有志のグループにできることをすればいい。そうすると、自治会しかできないことは限られたことになり、自治会もぐっと楽になります。

Q8.地域協議会はどのようにつくるのでしょうか。

これはあくまで豊中の例ですが、最初に地域の「ラウンドテーブル」をつくりました。

地域の中で、顔は知っているが何をしている人かよくわからないという人は、多いですよね。そういう人達に一度集まってもらい、地域の課題をどのように解決していくか、みんなでデータをみながら議論する会議をつくるところからはじめえました。

「ラウンドテーブル」とは「円卓会議」のことです。テーブルをロの字型などにすると、どうしても上座がどこかという話になるので、上下関係を気にせずに話し合える会議です。

そうやって、まずは互いのバックグラウンドを知り合うことは、非常に重要です。

5.今後の予定

第4回研究会議

日時

9月19日(水曜日)午後7時から午後9時まで

場所

市役所本庁舎6階 601会議室

会議の傍聴について
  • 傍聴定員は10名とします。
  • 傍聴を希望される方は、会議の開催予定時刻までに会議会場へお越しください。
  • 傍聴の受付は、当日先着順で行い、定員になり次第終了します。

第5回研究会議

日時

10月4日(木曜日)午後7時から午後9時まで

場所

市役所本庁舎6階 601会議室

会議の傍聴について
  • 傍聴定員は10名とします。
  • 傍聴を希望される方は、会議の開催予定時刻までに会議会場へお越しください。
  • 傍聴の受付は、当日先着順で行い、定員になり次第終了します。

第6回研究会議

日時

11月1日(木曜日)午後7時から午後9時まで

場所

市役所本庁舎6階 601会議室

会議の傍聴について
  • 傍聴定員は10名とします。
  • 傍聴を希望される方は、会議の開催予定時刻までに会議会場へお越しください。
  • 傍聴の受付は、当日先着順で行い、定員になり次第終了します。

関連リンク

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この記事に関するお問い合わせ先

市長公室 協働推進課 市民協働係
小牧市役所 本庁舎4階
電話番号:0568-76-1629 ファクス番号:0568-75-5714

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