令和7年度 心にのこる一冊の本(教育長・市内小中学校長の読書体験)

更新日:2025年10月01日

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小牧市では、県民運動にあわせ、平成15年度より、校長先生方に心にのこる一冊の本を紹介していただき、小冊子や掲示用ポスターにして青少年に読書をすすめる活動をしています。

~ 偶然手にした一冊の本が、自分に力や勇気・励ましを与えてくれる…
一冊の本との運命的な出合いを求めて読書の旅に出かけてみましょう!~

 

「やさしいライオン」 やなせ たかし 作・絵

推薦者 小牧市教育委員会教育長 中川 宣芳

みなしごライオンのブルブルを、お母さんがわりに育てるメス犬のムクムク…。ムクムクは、ブルブルをおんぶして子守唄を聞かせます。ムクムクの子守唄を耳に、やさしく育ったブルブル。やがて立派なライオンになったブルブルは、お母さんのムクムクのもとから引き離され、都会のサーカスで人気者になります。それでも、ムクムクのやさしい子守唄は忘れません。ある夜、遠くのほうからなつかしい子守唄が聞こえてきます。「お母さんだ!」…。檻を破り、お母さんのもとへと必死でかけるブルブル…。今度こそ、離れ離れにならないでいっしょに暮らすことができるのでしょうか…。人間たちの都合で引き離されてしまったブルブルとムクムクの悲しくも温かな親子の愛情を描いたお話です。

「嫌われた監督」 鈴木 忠平 著

推薦者 小牧市立小牧小学校長 松永 恒二

中日ドラゴンズ。聞いたことあると思います。地元プロ野球チームです。ファンの期待をよそに、昨年まで3年連続最下位。ドラゴンズファンは涙しています。今でこそ弱いチームですが、実はその前はとても強かった。2004年から2011年までの8年間、実にリーグ優勝4回、日本一1回、Bクラスに落ちることなく必ずクライマックスシリーズに進出しました。その8年間を率いた監督が、本書の主人公「嫌われた監督」落合博満です。この監督、就任した年からリーグ優勝をなしとげます。まさに常勝軍団を作り上げました。その一方で、メディアや中部財界からは大変嫌われました。最終年は優勝したのに辞めさせられてしまうほどです。なぜ強かったのか?なぜ嫌われたのか?監督の意図は?選手は何を思っていたのか。番記者による、地道な取材を積み重ねた渾身のドキュメンタリー。野球に興味のある人、興味をそそられたという人、ぜひ手に取ってみてください。

 

「たった2℃で・・・地球の気温上昇がもたらす環境災害」 キム・ファン 文 チョン・ジンギョン 絵

推薦者 小牧市立村中小学校長 長谷川 真

この本は、女の子と猫の会話や絵を通して、地球温暖化をとても分かりやすく教えてくれる1冊です。人間の体温が2℃上がると病気になりますが、地球の気温が2℃上がると大きな変化が起こります。例えば、サンゴが死んでしまったり、ウミガメの赤ちゃんが全部メスになってしまったり、ゴマフアザラシがシャチに食べられてしまったりするなど、自然界のバランスが崩れてしまいます。そして、自然界のバランスが崩れると様々な変化が生まれ、その結果、私たち人間の生活が大きく変わってしまうこともあります。このように、「たった2℃の気温上昇」が、人間も含めた生き物の未来を左右するほど大きな影響を及ぼすのです。この本を読んで、地球に住む一員として、地球を守るためにできることをぜひ考えてみてください。

「おぼえていろよ おおきな木」 佐野 洋子 作・絵

推薦者 小牧市立篠岡小学校長 兼子 茂

おじさんの家の横には大きな木。集まってくる鳥のなき声がうるさい、お茶を飲んでいたらコップに鳥のフン、お昼寝をしていたら枝から毛虫…。おじさんのイライラは、どんどん大きくなっていきます。そしてとうとう、木を切り倒してしまいます。でも、すぐに後悔をします。みなさんも、おじさんのように、つい感情的になって失敗をしてしまい、後悔したことがあると思います。人生にはそのようなことがたくさんあります。大切なのは、同じ失敗をしないようにすること。そして、失敗を取り返すようにがんばることです。不思議なことに、取り返すチャンスは必ずやってきます。おじさんはどうやって取り返したかって?それは読んでのお楽しみ。「絵本は小さな子が読む本」という考えはいったんおいておいて、読んでみてください。

「兎の眼」 灰谷 健次郎 著

推薦者 小牧市立一色小学校長 冨嶋 明人

ごみ処理所のある町の小学校を舞台に、新任教師が直面する出来事や出会いを通して、子どもたちと共に成長する物語です。新卒の小谷先生が担任する1年生のクラスには、緘黙の鉄三がいました。指導に悩む小谷先生。同僚の足立先生は、小谷先生が鉄三の「タカラモノ」を見落としているかも、と問いかけます。鉄三ら個性豊かな処理所の子どもたちや、壮絶な過去を持つバクじいさんら大人たちの懸命な姿、そして小谷先生の教師としての成長を描いた本書を、中学生の時に手にし、教師の道を志しました。小谷先生のように子どものために奮闘し続け、足立先生のように「タカラモノ」を見いだすことのできる教師になることを目指した教師生活も、今年で38年目。本書は、その原点であり、今日までずっと拠り所となってきました。題名の由来である大和西大寺の善財童子には、今でも折に触れ会いに行きます。いつ訪れても、変わらぬ透き通った眼差しを悩める一教師に向けてくれるのです。

「僕には鳥の言葉がわかる」 鈴木 俊貴 著

推薦者 小牧市立本庄小学校長 冨嶋 恵子

「鳥の鳴き声って言葉だったの?」…鳥愛に溢れ“動物言語学”を提唱する筆者は,鳥は感情で鳴いているという常識を覆し,シジュウカラの「ピーツピ」「ヂヂヂヂ」「ジャージャー」などの鳴き声が,警戒・集まれ・蛇!などの意味を伝えていることや,「ピーツピ・ヂヂヂヂ」などの単語を組み合わせた二語文を発して仲間に危険を知らせ,互いに助け合っていることなどを世界で初めて解明しました。鳥達が持つ言葉の力に迫るべく,「考え続ける」→「解決の糸口を見いだす」→「楽しみながら根気よく実験する」と奮闘する筆者の姿勢に感心させられます。世界は言葉で溢れています。でも,言葉を操るのは人間だけではないのです。鳥のさえずりに耳を傾け,仲間と何を伝え合っているのだろうと想像すると楽しくなりますね。なお,巻末には実際のシジュウカラの鳴き声を聞くことができるQRコード付き。更に楽しむことができますよ。

「精霊の守り人」 上橋 菜穂子 作 二木 真希子 絵

推薦者 小牧市立桃ヶ丘小学校長 森川 美千代

精霊は100年に一度人に宿って誕生し、人の世の大きな災いをおさえる。その精霊の卵を身に宿(やど)されたことで命をねらわれる12歳の皇子チャグムを、女用心棒バルサが守って旅する物語です。アジア風の異世界を舞台に、人間の世界と精霊の世界が交差して描かれており、NHKでドラマ化・アニメ化もされた作品です。バルサは、強い意志をもつ女性で、困難に立ち向かい続けるその姿は、とにかくかっこいい。チャグムは、過酷な経験を乗り越えながら、甘えん坊の男の子から、たくましい青年へと成長していきます。年齢も育った環境も違う二人の会話のずれのほほえましさが作品のおもしろさの一つですが、二人に共通するのは、周りの人への感謝と尊敬の念を忘れないこと、そして、苦しみでさえも優しさと強さに変えていけること。わたしもこうありたいと、改めて思わせてくれた一冊です。

「ある晴れた夏の朝」 小手鞠 るい 著

推薦者 小牧市立大城小学校長 楠 詩帆

本著の舞台はアメリカ。アイルランド系、日系、中国系、ユダヤ系と出自の違う8人の高校生が広島と長崎に投下された原爆の是非についてディベートで対決する。白熱する討論で大きな争点になったのが、広島平和記念公園に設置されている慰霊碑に刻まれた言葉。「安らかに眠ってください 過ちは 繰り返しませぬから」 この言葉の解釈に悩んだ経験から、主人公のメイ(日系アメリカ人・原爆否定派)は日本語の奥深さに興味を引かれ、平和への思いを新たにする。8人がどんな主張をして、どんな討論を繰り広げたのか、興味を持った人は、ぜひ、この本を手にとり、彼らと一緒に考えてほしい。あやまちを二度とくりかえさないために。

「うまくいっている人の考え方」 ジェリー・ミンチントン 著 弓場 隆 訳

推薦者 小牧市立岩崎中学校長 江本 克也

「人間の幸せとは何か」、「幸せな人生を送るためにはどうすればいいのか」。このテーマは人間の永遠の課題であり、本書はそれに対して「自尊心をどう高めるか」という視点で多くのアドバイスを与えてくれます。他人と自分を比較して落ち込んだり、自分にないものを羨んだりするのではなく、自分に寛大になり、自分を大切にし、自分を受け入れ、自分の価値を信じ、自分の人生を生きることで自分を好きになり、他人と同じように自分は素晴らしい人生を創造できる人間だと信じることが大切だということに気づかせてくれます。実際に私も人間関係に悩んだり苦しんだりした時に、何度も読み返して助けられました。自分のことが好きになれず、悩んでいる人には特にお薦めの本です。

「わたしが正義について語るなら」 やなせ たかし 作

推薦者 小牧市立小牧西中学校長 水野 一哉 

この本はアンパンマンの原作者、やなせたかしさんが書いたものです。この本には、「正義とはかっこいいものではない。正義のために行動すると、自分も深く傷つくのだ」という言葉が何度も出てきます。困っている人を助けようとしたことがありますか?間違った行動の人を注意しようとしたことがありますか?簡単そうに見えて、難しいことだと思います。アンパンマンは困っている人がいたら、助けずにはいられません。アンパンマンは顔を人に食べさせたら弱くなってしまいます。それでも、そのあとに戦いが待っていても、おなかをすかせている人がいたら自分の顔を与えて食べさせます。やなせさんは言います。「人生の楽しみの中で最大最高のものは、人を喜ばせることでしょう」。たとえ、それで自分が傷つくことがあっても、愛と勇気を友達にして、人を喜ばせる人でありたいものです。この本を読みつつ、アンパンマンのマーチを聴くこともお勧めします。

「生きてるってどういうこと?」 谷川 俊太郎 ことば 宮内 ヨシオ 絵

推薦者 小牧市立光ヶ丘中学校長 塚本 真也

「生きてるってどういうこと?」こんな問いかけに、みなさんはどう答えるでしょうか。この本では、そんな深い問いかけが繰り返されます。ふだん当たり前のように感じている「生きている」ということが、どれほど不思議で、かけがえのないものなのか。シンプルな言葉の中に、命の尊さや日々の小さな奇跡が、やさしく描かれています。美しい色遣いの絵も、詩の世界をあたたかく包みこみ、心にそっと寄り添ってくれます。絵を眺めているだけでも、心がほっとするような、そんな一冊です。この本には、問いかけに対する「正解」が書かれているわけではありません。でも、読む人の年齢や心の状態、読むときの時間や季節によって、感じ方が少しずつ変わってきます。同じ人が読んでも、そのたびに違う思いが生まれてくる…。そこがこの本の一番の魅力です。元気なときも、ちょっと落ち込んだときも、ぜひこの本をそっと開いてみてください。きっと、あなたの「今」に、やさしく語りかけてくれるはずです。

 

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