平成28年度 心にのこる一冊の本(教育長・市内小中学校長の読書体験)

更新日:2017年08月31日

偶然手にした一冊の本が、自分に力や勇気・励ましを与えてくれる…
一冊の本との運命的な出合いを求めて読書の旅に出かけてみましょう!

「八月の青い蝶」 周防 柳 著

推薦者 小牧市教育委員会教育長 安藤 和憲

8月6日、小牧市民会館に於いて、小牧市平和記念式典が挙行されました。
式典では、小牧西中学校の2名の生徒が、『「平和」とは』『後世に伝える』と題して作文発表をしてくれました。この中で、彼らは、「今、世界中で起きているテロや紛争にしっかりと目を向け考えていくことこそ、戦争の教訓を後世に伝えていくことにつながる」、「みんな同じかけがえのない命をもった人間だということを考えていくことこそ、戦争のない平和な世の中に近づく」という自らの考えを発信してくれました。
今回、私の紹介する「八月の青い蝶」は、71年前の8月6日、広島に投下された原子爆弾によって、主人公「亮輔」と、彼がほのかに思いを寄せる「希恵」との悲しい別れを回想する小説です。この小説に興味を抱いたのは、八月と青い蝶との接点でした。読み終えたとき、この八月と青い蝶、そして「希恵」との関係が見事に一つの物語として私の心に染み込んできました。
この本を読み終えて感じたことは、71年前の8月6日、広島に投下された一発の原子爆弾によって、それまで生きていた何十万人という人々の生活が、一瞬にして一方的に奪われたという悲惨さでした。「希恵」という女性の死を通して、一瞬にして奪われた「私の命」を返してくれという被爆者たちの無言の訴えがひしひしと伝わってきました。
今、私たちの生きているこの地球上に目を転じたとき、果たして平和な世界と言えるでしょうか。そういう意味からも、71年前、この日本で起こった悲惨な事実に目を向けることによって、改めて平和な世の中について意識を持つきっかけになってもらえれば幸いです。
この本を、多感な思春期を迎えた中学生諸君にお勧めします。

「ヒロシマの歌」 今西 祐行 著

推薦者 小牧市立村中小学校長 前原 宏一

悲しい歴史である太平洋戦争が終わり、今年で71年目を迎えた。
「ヒロシマの歌」では、昭和20年8月6日に広島に投下された原爆により、罪のない弱い立場の多くの人々の命が奪われた史実だけでなく、今西祐行さんの戦争児童文学作品8編から戦争のもつ悲惨さやそれに伴う人々の苦しみと痛みに深く触れることができる。また、本書には小学校4年生の国語の教科書に出ている心に響く作品「一つの花」も掲載されている。
この夏、ブラジルのリオデジャネイロでスポーツの祭典であり、平和の祭典でもあるオリンピックが開催された。しかし、世界に目を向けると、現在もまだまだ互いに憎しみ合い、傷つけ合っている国々や地域がある。この機会に、世界の平和を守ることや互いの命を尊重することの大切さについて、是非、じっくりと考えてほしいと思っている。

「宇宙への秘密の鍵」 作 ルーシー &スティーヴン ホーキング

推薦者 小牧市立米野小学校長 安藤 敏基

小学生のジョージは、飼っていた豚が隣の家に逃げ込んだことがきっかけで、隣の家に住む不思議な科学者・エリックと親しくなります。エリックは、最高頭脳を持つスーパーコンピューター・コスモスを開発していました。スーパーコンピューター・コスモスは宇宙空間への扉を開くことができるのです。まるでドラえもんに出てくる「どこでもドア」のようです。ある日、ジョージはエリックの娘アニーとともに宇宙空間へ飛び出すことに成功します。彗星の群れを見たり、土星を旅したり…。ジョージとアニーは宇宙旅行を堪能し、広大な宇宙の中で、私たちの住む地球が、どんな星なのかを知っていきます。そんなとき、コスモスを狙う何者かがエリックを宇宙の「ある場所」へと誘いだします。そこはなんとブラックホール!ジョージはエリックを助けようと必死で考えます…。
天才物理学者ホーキング博士とその娘が書いた、宇宙冒険物語です。物語を読み進めていくうちに、ブラックホールや太陽系など、最新の宇宙についての知識が自然に理解できる内容となっています。また、私たちの住む地球環境についても考えることができると思います。
是非、皆さんも心躍らせながら宇宙の神秘に思いを馳せてみてください。

「78円の命」 谷山 千華 著

推薦者 小牧市立一色小学校長 近藤 健一

「自分1人くらいが声を上げたところで何も変わらないだろう。」
私も含めて誰もが1度はこんな思いを抱いたことがあるでしょう。
私のこの本との出会いはほんの偶然でしたが、この本が出版されるに至った経緯を知り、大きな衝撃を受けました。
この本のもとになった話は、愛知県豊橋市に住む、当時小学6年生だった谷山千華さんが書いた「78円の命」という作文です。猫の殺処分が1匹あたり78円で行われていることを知った谷山さんが素直に感じたことを書いた作文は、豊橋市の話し方大会で最優秀作品に選ばれ、豊橋市内の道徳の授業でも教材として扱われるようになりました。この話を聞きつけた数名のクリエーターが絵本化することを発案し、クラウドファンディングサイトで資金を募り、結果的に500名以上から390万円を超える資金が集まり出版に至りました。このプロジェクトはマスコミでも報道され、1冊78円で販売された初版はほぼ完売するほどの多くの人の関心を集めました。
1人の小学生が感じた思いが多くの人の心を動かし、絵本という形をとるに至り、さらに多くの人の心を動かしていくという事実に、「自分1人くらいが…」と言い訳をして、考えたり行動したりすることを放棄していた自分がとても小さく感じさせられました。
生き物の命の価値を考える、生き物の命の守り方を考える、自分にできることを考える、この絵本は、ふれる人によって、実に様々なことを考えさせてくれる本です。

「南極ないない」 小塩 哲朗 著

推薦者 小牧市立小木小学校長 加藤 和昭

南極と聞くと「とても寒い」「ペンギンがいっぱい」「雪と氷の世界」など想像してしまいます。一度は行ってみたい場所「南極」。その南極へ、第56次日本南極地域観測隊の一員として参加した名古屋市科学館学芸員の小塩さんが、南極の不思議について書いた本です。なかなか行くことができない場所ですが、「ドロムラン」という航空網を使えば6日間で行けたり、南極観測の越冬隊員のうち3分の2は、料理人や医師、車両、環境保全、設営担当など研究目的以外の人が参加したりしているそうです。また、雪と氷の極寒のイメージがある南極も夏には気温がプラスになることもあり、地面の土ばかりの時期もあるそうです。本を読み終わってさらに南極へ行ってみたい気持ちが強くなっていました。

「おれはティラノサウルスだ」 宮西 達也 作・絵

推薦者 小牧市立光ヶ丘小学校長 横井 公治

この絵本は、ティラノサウルスシリーズとして十数冊出版されています。短いお話ですが、なぜか人のやさしさや思いやりについて考えさせられる素敵な絵本です。
まだ飛べない子どものプテラノドンを食べようとしたティラノサウルスが、火山の噴火で岩山から落ち、目が見えないほどの大ケガをしました。かわいそうに思ったプテラノドンは、「おれはティラノサウルスだ」と嘘をつき、「強い子になってほしい」というお父さんの教えと「やさしい子になってほしい」というお母さんの教えをしっかり守り、怖いティラノサウルスの看病を一生懸命します。その甲斐あってケガが治ったティラノサウルスでしたが…。
お互いのやさしい気持ちは伝わることなく、別れてしまう羽目になったプテラノドンの子どもとティラノサウルスのそれぞれの言葉に、思わず目頭が熱くなる心温まるお話です。
絵本ですが、中学生にも読んでほしいですね。

「ひとりじゃないよ」 アムネスティ・インターナショナル日本編

推薦者 小牧市立大城小学校長 竹谷 竹久

この絵本は、「21世紀に生まれてくる子どもたちへ」というテーマで、いろいろな人たちの心が発した言葉とそれに合わせた絵が一つになって、未来の世代に届けられることになった一冊の絵本です。この絵本に寄せられたメッセージは、今を生きる私たちから、未来に生きる人たちに向けての「誓い」であり、たくさんの人たちの夢や願いが込められています。自分自身が苦しいとき、悲観的になってしまいそうなとき、自分ひとりで思い悩んでしまわないで、どうか、この絵本の一つ一つのメッセージに耳を傾けてください。『生命・幸せ・平和・夢・希望・願い』について、もう一度目を向けることができ、きっと、あなたが元気になれる言葉を見つけることができると思います。

「ハトはなぜ首を振って歩くのか」 藤田 祐樹 著

推薦者 小牧市立岩崎中学校長 林 文通

私は子どもの頃から動物が好きでした。犬や猫はもちろんのこと、ウサギやカメ、ニワトリ、スズメなど、たくさんの動物を飼ってきました。その中でも、小学生の頃にはやった伝書鳩を飼ったときのことはよく覚えています。大好きだったハトを毎日見ているうちに、ハトは歩くときに首を振ることが気になっていました。しかし、周囲にはその疑問に答えてくれる人は誰もなく、いつの間にか忘れてしまっていました。ところが先日、何気なく立ち寄った書店でこの本を見つけ、迷わず購入し、夢中になって読みました。
ハトは首を振っているのではなく、頭を静止している。簡単に言うとこれが答えですが、本書では、ハトが頭を静止する理由を数々の実験結果から科学的に説明していきます。それがとてもわかりやすく、長年の疑問が解消されてスッキリしました。
世の中の事象(謎)にはすべて理由があります。考えてみれば、私は、自分の疑問に答えてくれる書籍を好んで読み続けてきました。本は、自分の知らない世界を教えてくれます。是非手にとって、様々の世界の扉を開けてみてください。ちなみに、ちょっと難しいですが、「ゾウの時間ネズミの時間―サイズの生物学」(本川達雄著・中公新書)も面白いですよ。興味があったら読んでみてください。

「それでもわたしは山に登る」 田部井 淳子 著

推薦者 小牧市立光ヶ丘中学校長 森川 智之

平成28年7月4日、19歳の女子大学生南谷真鈴さんが、北米大陸最高峰デナリの登頂に成功。世界7大陸の最高峰制覇の日本人最年少記録を更新し話題となりました。
南谷さんの記録も素晴らしいものですが、著者の田部井淳子さんは、世界中の女性の中で初めて世界最高峰エベレストに登頂した方です。そして南谷さんと同じ7大陸最高峰への登頂も女性世界初の偉業として有名です。
その田部井さんを病魔が襲います。2007年と2012年の二度、がんと診断されます。2012年のときには余命3か月の宣告を受けます。このとき田部井さんはすでに70歳を過ぎていました。そのような状況の中でも田部井さんは山に登り続けます。苦しいのになぜ山に登るのか。実は、私自身50歳過ぎてから山歩きを始めました。田部井さんの言葉からたくさんの希望をいただいています。山登りに興味のない人でも、苦しいときに読むと、きっと力を与えてくれる1冊です。

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